国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R4年 問51解説

 問 題     

生理活性ペプチドに関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ β ‒ エンドルフィンはプレプロ型前駆体として合成される神経ペプチドであり、その前駆体はプレプロ・オピオメラノコルチンである。

㋑ アドレノメデュリンは血管の発生に必須であり、強力な血管拡張作用を有する。

㋒ レプチンは末梢組織で産生され、血液脳関門を通過して視床下部などのレプチン受容体に作用し、食欲を増進する。

㋓ 神経伝達物質の不活性化機構は酵素による分解と再取り込みに大別され、神経ペプチドであるエンケファリンは主に再取り込みで不活性化されると考えられている。


1.㋐、㋑
2.㋐、㋓
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.1

 解 説     

㋐ は妥当です。
β エンドルフィン (β-endorphin) は 31 個のアミノ酸から成るペプチドです。プレプロ・オピオメラノコルチン(pre – POMC) は、285 個のアミノ酸からなるポリペプチドです。翻訳後プロセシングにより、44 残基のシグナル配列が切断されて プロオピオメラノコルチン (POMC) となります。

㋑ は妥当です。
アドレノメデュリンは、褐色細胞腫の抽出物中より精製された血管作動性ペプチドです。 52 個のアミノ酸からなり、ジスルフィド結合による環状構造とアミド化されたカルボキシル基を持つのが特徴です。

㋒ ですが
レプチンは脂肪細胞により作られ、脳内の弓状核という摂食中枢に作用し、食欲を抑える作用を有します。「食欲を増進」するわけではありません。㋒ は誤りです。

㋓ ですが
エンケファリンの不活性化機構は、主に酵素による分解と考えられています。㋓ は誤りです。


以上より、正解は 1 です。

コメント