国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R4年 問44解説

 問 題     

芳香族化合物に関する記述 ㋐、㋑、㋒ のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ a、b、c の化合物のうち、メチル基のプロトンの酸性度が最も高いのは c である。

㋑ a、b、c の位置のうち、強酸によりプロトン化を受けるのは a である。

㋒ a、b、c の化合物のうち、一般に求電子試薬に対する反応性が最も高いのは b である。

1.㋐
2.㋐、㋑
3.㋑
4.㋑、㋒
5.㋒

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

㋐ ですが
H を与えた時の共役塩基の共鳴を考えると、a であればベンゼン環全体に負電荷が非局在化されます。一方、b,c は ピリジン環の N に孤立電子対があり、相対的に負電荷が非局在化されず不安定です。従って、共役塩基がより安定である a のメチル基プロトンの方が酸性度が高いです。c ではありません。㋐ は誤りです。

㋑ ですが
ピロールの プロトン化 (求電子攻撃) は、中間体がより共鳴安定化されることから 2 位、つまり b が受けると考えられます。㋑ は誤りです。

㋒ は妥当です。
ベンゼン (a) < チオフェン (c) < フラン (b) (< ピロール) の順に求電子剤に対して反応性が大きくなります。


以上より、正解は 5 です。

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