問 題
蛍光光度法は、生体内成分の定量分析に広く使用されている。例えば、蛍光色素である fura ‒ 2 は、Ca2+ の定量分析や細胞内 Ca2+ イメージング測定に利用されている。
蛍光光度法及び蛍光の性質に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。ただし、光速を 3.00 × 105 km/sec とする。なお、fura ‒ 2 の構造式は次のとおりであり、fura ‒ 2 は、Ca2+ イオン非存在下では図の A の蛍光励起スペクトルを示すが、Ca2+ イオン存在下では図の B のように蛍光励起スペクトルが変化する。
㋐ fura ‒ 2 を用いて Ca2+ イオン濃度の定量分析を行う場合、測定に用いる励起波長として適切なのは 360 nm である。
㋑ 励起光の振動数よりも蛍光の振動数の方が小さい。
㋒ 波長 360 nm の光の振動数は約 833 GHz である。
㋓ 蛍光光度法では、光源として、一般にキセノンランプを使用する。
1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓
解 説
㋐ ですが
図の A,B のスペクトルの最も蛍光強度が高くなる波長を読み取れば A は 370 nm、B は 340 nm が妥当です。これらの波長が用いられると考えられます。360 nm ではありません。㋐ は誤りです。
㋑ は妥当です。
言い換えると、蛍光の波長の方が長いということです。Stokes の法則 (ストークスの法則) といいます。
㋒ ですが
波の基本式 v = fλ の v に 3.00 × 108 (m/sec)、λ に 360 × 10-9 を代入すれば、f ≒ 833 × 1012 です。約 833 THz が妥当です。「GHz」ではありません。㋒ は誤りです。
㋓ は妥当です。
蛍光光度法において、光源としてはキセノンランプ、レーザー、アルカリハライドランプなどが用いられます。資料部としては、石英製セルを用います。ちなみにガラスは、紫外部の光を吸収してしまうため用いられません。
以上より、正解は 4 です。
コメント