国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R4年 問35解説

 問 題     

エチレンは様々な有機化合物の原料として用いられている。エチレンの誘導体の合成に関する次の記述の ㋐ ~ ㋔ に当てはまる触媒等の組合せとして最も妥当なのはどれか。

「エチレンから塩化ビニルを合成する方法には、エチレンに塩素を付加させて 1,2 ‒ ジクロロエタンを合成した後、塩化水素を脱離させる直接塩素化法と、エチレン、塩化水素及び空気を反応させて 1,2 ‒ ジクロロエタンを合成した後、塩化水素を脱離させるオキシ塩素化法があるが、触媒として前者には ㋐ が、後者には ㋑ が用いられる。

アセトアルデヒドの合成では、かつてはアセチレンを水和し、ビニルアルコール経由で合成する方法が用いられていたが、現在は、 ㋒ を触媒としてエチレンを酸化する Wacker 法が用いられている。

エチレンを酸化してエチレンオキシドを合成し、さらにエチレンオキシドを水和してエチレングリコールの合成を行うとき、エチレンの酸化では、触媒としてアルミナを担体とした ㋓ が用いられ、水和では、無触媒で行われるか、触媒として ㋔ が用いられる。」

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

㋐、㋑ ですが
直接塩素化法では FeCl3、オキシ塩素化法では CuCl2 が触媒として用いられます。正解は 3 ~ 5 です。

㋒ ですが
環境への影響を考えれば、水銀を含む反応が「現在」の方法ではないだろうと判断したい選択肢です。HgSO4 ではありません。正解は 4 or 5 です。

㋓ ですが
エチレンの酸化で用いられる触媒は、アルミナを担体とした「Ag」です。これにより、㋔ は H2SO4 とわかります。


以上より、正解は 5 です。

類題 H30no35 ポリマーの工業的製法
https://yaku-tik.com/yakugaku/km-30-35/

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