国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R4年 問25解説

 問 題     

Na 原子の発光スペクトルに関する次の記述の ㋐ 、㋑ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。ただし 、プランク定数を h〔J・s〕 、真空中の光速を c〔m・s-1〕とする。

「Na 原子の電子配置 (1s)2 (2s)2 (2p)6(3p) によって表される電子励起状態は 、 ㋐ の結果として 、項記号 2P1/2 及び 2P3/2 によって表される 2 準位を形成する。

このため 、電子基底状態 2S1/2 にある Na 原子を励起すると 、2P1/22S1/2 遷移及び 2P3/22S1/2 遷移に基づく二つの近接した波長  λ1 〔m〕 、 λ2 〔m〕 (λ1 > λ2) をもつ発光 、いわゆるナトリウム D 線が観測される。

この D 線の二つの波長を用いて 、電子配置 (1s)2 (2s)2 (2p)6(3p) における 2P1/2 準位と 2P3/2準位のエネルギー〔J〕の差は 、 ㋑ と表される。」

 

 

 

 

 

正解.1

 解 説     

㋐ ですが
ナトリウムの D 線の分裂は、電子のスピン軌道相互作用の結果、複雑なエネルギー準位の分裂が起こることが原因です。㋐ は「スピン軌道相互作用」です。正解は 1 or 2 です。

ちなみに、ゼーマン効果は、原子を磁場中においた場合に複数のスペクトル線に分裂する現象です。電場中に置いた場合のスペクトル線の分裂がシュタルク効果です。


㋑ ですが
プランクの式:E = hν = hc/λ が基礎知識です。波長が小さい方がエネルギーは大きいので hc/λ2 から hc/λ1 を引けばエネルギーの差がわかります。hc(1/λ2 ー 1/λ1) が妥当です。


以上より、正解は 1 です。

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