国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R4年 問18解説

 問 題     

ダイヤモンドの標準生成ギブズエネルギーは 3.0 kJ・mol-1、グラファイトの標準生成ギブズエネルギーは 0 kJ・mol-1 である。標準状態から温度を保ったまま圧力を変化させたとき、ダイヤモンドとグラファイトのギブズエネルギーが等しくなる圧力として最も妥当なのはどれか。

ただし、標準状態は 298 K、1.0 ×105 Pa であり、炭素のモル質量は 12 g・mol-1 とする。また、ダイヤモンドとグラファイトの密度はそれぞれ 3.6 g・cm-3、2.4 g・cm-3 とし、圧力に対する密度の変化は無視できるものとする。

なお、ギブズエネルギー G と、体積 V、圧力 P、エントロピー S、温度 T には、dG = VdP -SdT の関係が成り立っている。


1. 1.8 × 105 Pa
2. 1.8 × 106 Pa
3. 1.8 × 107 Pa
4. 1.8 × 108 Pa
5. 1.8 × 109 Pa

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

【定温条件から 与えられた式を変形】
定温なので、dT = 0 より
dG = VdP…(1)


【ダイヤモンド、グラファイトの体積】
ダイヤモンド、グラファイト 共に 1 mol とします。
体積 × 密度 が 質量 なので

Vダイヤモンド = (12/3.6) = (10/3) cm3/mol
Vグラファイト = (12/2.4) = 5 cm3/mol です。
※単位を m3 に合わせると × 10-6 がついてきます。


【圧力を変化させた時の ΔG】
ダイヤモンドとグラファイトの dG は
それぞれの標準生成ギブズエネルギーの差から 3.0 kJ/mol です。

(1) 式を 積分すれば
ΔG = V × ΔP です。

ダイヤモンドについて、圧を変化させれば
ΔG(ダイヤモンド) = Vダイヤモンド × (ΔP) つまり
ΔG(ダイヤモンド) =  (10/3 × 10-6) × (ΔP)

グラファイトについて、圧を変化させれば
ΔG(グラファイト) = Vグラファイト × (ΔP) つまり
ΔG(グラファイト) = (5 × 10-6) × (ΔP)


【ギブズエネルギーが等しくなる圧力】
標準状態で 3.0 kJ の差があるけど
圧力上げれば グラファイトの方が
(5 × 10-6) ΔP ー (10/3 × 10-6) ΔP
= (5/3 × 10-6) × ΔP 分多く
ΔG 変化する。


この変化分が
初めの差である 3.0 × 10
3 に追いつけばよい

∴ΔP = (3/5) × 106  ×  3.0 × 103
= 1.8 × 109 であれば OK.


以上より、正解は 5 です。

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