国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R4年 問14解説

 問 題     

滑らかで水平な地面に静止した質量 M の台車 P において、図のように、P の天井から質量m の小球 Q を長さ l の糸によってつり下げた。糸がたるまないようにしながら、糸が鉛直方向と角 θ ( 0 < θ < π/2 ) をなす位置まで Q を持ち上げ、全体が静止した状態で Q を静かに放した場合、最下点に達したときの地面に対する Q の速さとして最も妥当なのはどれか。ただし、重力加速度の大きさを g とする。

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

解法 1【選択肢の活用】
M がとてつもなく大きくてほぼ動かないとします。すると最下点に達した時の小球 Q の速さは、最下点を基準とした位置エネルギー U = mg{l(1 – cos θ)}…(1) が、運動エネルギーに変換されて mv2/2…(2) になるので、mg{l(1 – cos θ)} = mv2/2 を解けば √2gl(1 – cosθ) です。

M が小さい時は 台車が動いて地面に対する速さが変わるはずなので、M が含まれない選択肢 1 は誤りです。

M が大きい時に
選択肢 2 → 0
選択肢 4 → ∞
選択肢 5 → 0 です。
√2gl(1 – cosθ) に近づくのは選択肢 3 のみです。


以上より、正解は 3 です。


解法 2 【運動量、力学的エネルギー 保存則】
最下点での Q の速さを v、そのときの P の速さを V とおきます。

・運動量保存 (水平方向) より
mv + MV = 0…(1)

・力学的エネルギー保存により
mv²/2 + MV²/2 = mg{l(1 – cos θ)}…(2)

(1) から V = mv/M より V を消去して
v について解くと
v = √2Mgl(1 – cosθ)/(M + m) を得ます。


以上より、正解は 3 です。

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