国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R4年 問104解説

 問 題     

生物の絶滅に関する記述 ㋐、㋑、㋒ のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ 近年 (1975 ~ 2000 年) の生物種の絶滅速度は、大量絶滅が生じた白亜紀末期の絶滅速度と同程度であると推定されている。

㋑ 生物の個体数の減少によって絶滅の渦が生じる主な要因には、人口学的確率性が高まること、近交弱勢が生じやすくなること、遺伝的浮動により弱有害突然変異の蓄積が生じることが挙げられる。

㋒ 国際自然保護連合 (IUCN) の基準に基づいてレッドリストに掲載されるもののうち、絶滅危惧種には、絶滅リスクが高い順に、深刻な危機 (CR:critically endangered)、危機 (EN:endangered)、危急 (VU:vulnerable) の三つの区分がある。


1.㋐
2.㋐、㋑
3.㋐、㋑、㋒
4.㋑、㋒
5.㋒

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

㋐ ですが
地球上では 35 億年の生物史上 5 回の大絶滅が起きたとされ、一番最近の大絶滅は、恐竜の絶滅で知られる白亜紀後期(約 6,500 万年前)の大絶滅です。この時の速度は 1 年あたり 10 〜 100 種程度と推測されています。

一方、近年の生物種絶滅速度は、年間数万種と推定されています。桁違いの速度です。「同程度」ではありません。㋐ は誤りです。


㋑ は妥当です。
絶滅が加速されていく現象が「絶滅の渦」です。

人口学的確率性は
単なる偶然に基づく性比の偏りなどのことです。

近交弱勢は
近親交配により、有害遺伝子を受け継ぐ割合が増加し、出生率低下や死亡率増加が引き起こされることです。

自然選択と無関係な変異が偶然広まるのが「遺伝的浮動」です。


㋒ は妥当です。
絶滅危惧種は、絶滅リスクに基づき、リスクが高い順に CR:深刻な危機、EN:危機、VU:危急 の三つに分類されます。


以上より、正解は 4 です。

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