国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R4年 問5解説

 問 題     

分子式 C4H4O4 の2価の不飽和カルボン酸には、シス型のマレイン酸とトランス型のフマル酸がある。共に無色の結晶であるが、物理的、化学的性質は大きく異なっている。マレイン酸、フマル酸に関する記述 ㋐、㋑、㋒ のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。


㋐ 水に対し、フマル酸は非常によく溶けるが、マレイン酸はほとんど溶けない。

㋑ これらの酸は 2 段階の酸解離が起こり、第 1 段階の酸解離定数は、フマル酸よりもマレイン酸の方が大きい。

㋒ エネルギー的にはフマル酸の方が安定であり、燃焼熱は、フマル酸よりもマレイン酸の方が大きい。


1.㋐
2.㋐、㋒
3.㋑
4.㋑、㋒
5.㋒

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

㋐ ですが
シス型のマレイン酸は極性分子、トランス型のフマル酸は無極性分子なので、極性の高い水によく溶けるのはマレイン酸です。㋐ は誤りです。

㋑ は妥当です。
フマル酸では分子間水素結合のため水素は電離しにくいのに対し、マレイン酸では第1電離によって生じた COOが、もう一つの COOH の H との間に分子内で水素結合を形成し安定化するためです。

㋒ は妥当です。
トランス型のフマル酸の方が安定です。


以上より、正解は 4 です。

コメント