国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R3年 問72解説

 問 題     

ある酵素に対する阻害剤 A 及び阻害剤 B を用いて、酵素反応の反応初速度を測定したところ、表のようなデータを得た。各阻害剤の阻害様式の組合せとして最も妥当なのはどれか。なお、必要ならば方眼を用いてよい。

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

基質濃度が 1mM,2mM の時は
「阻害剤なしの時」よりも、「阻害剤 A,B 入り」が共に反応初速度が明らかに小さくなっています。

一方、基質濃度 50mM,100mM になると
阻害剤 B はほぼ阻害剤なしと同じ反応初速度になっています。

「基質濃度が増えると、阻害効果が小さくなる」のは「競合阻害」です。阻害剤 B は競合阻害とわかります。正解は 1 or 5 です。


次に、100mM の時の阻害剤なしの速度を最大反応速度とみなして、その 50% に到達する時の基質濃度、いわゆる Km に注目します。すると阻害剤なしの時の Km は 2 ~ 5mM のどこかであり、阻害剤 A の Km も 2 ~ 5mM のどこかです。すると、Km に変化がないため、非競合阻害と考えられます。もしもアロステリック阻害であれば、Km がもう少し基質濃度が大きくなった時になると推測されます。


以上より、正解は 5 です。

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