国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R3年 問47解説

 問 題     

図は、プルキンエ線維の膜電位に対する細胞外カリウム濃度の影響を調べるため、細胞外カリウム濃度をそれぞれ 3 mM、10 mM、16 mM のいずれかにして膜電位を測定したものである。細胞外カリウム濃度の影響に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。なお、図中の矢印 ( ↑ ) は、外部刺激を示している。

㋐ 低カリウム血症では、ジゴキシンの毒性が生じやすい。

㋑ 高カリウム血症とは異なり、低カリウム血症においては不整脈が起こりにくい。

㋒ 高カリウム血症では、伝導が遅延し、それに伴って心電図の QRS 間隔が広くなる。

㋓ 細胞外カリウム濃度が高い順番に並べると、A > B > C である。


1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓ 

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

細胞内は Na+ を外に汲み出すと同時に K+ が入ってくるが、K+ だけ外に自由に出れるチャネルがあるため、結果として Na+ 汲み出しにより、細胞内の方が負電荷側に偏ります。この時の細胞膜内外の電位差が静止電位です。

細胞外カリウム濃度が高くなると、細胞内に取り込んだ カリウムイオンが あんまり出ていかなくなるため、細胞内が + 側に傾きます。そのため、静止電位が 0 に近づきます。図における A,B,C では、細胞外 カリウム濃度が C > B > A という順序であることが読み取れます


㋐ は妥当です。
低カリウム血症時、ジゴキシンの毒性が生じやすいことが知られています。

㋑ ですが
低カリウム血症においても、不整脈は起こりやすいです。㋑ は誤りです。

㋒ は妥当です。

㋓ ですが
C > B > A の順です。㋓ は誤りです。


以上より、正解は 2 です。

コメント