国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R3年 問42解説

 問 題     

フェニトインナトリウム (C15H11N2NaO2、分子量 274.25) 注射液は、他剤と混合して pH が低下すると沈殿を生じやすい。

1.00 × 10-2 mol/L のフェニトインナトリウム注射液を調製したとき、その pH は約 12.5 であった。この注射液 1.00 L に塩酸を加えてその pH を 10.3 にしたとき、生じる沈殿の質量はおよそいくらか。

ただし、フェニトイン (C15H12N2O2、分子量 252.27) の pKa を 8.30、その分子形の溶解度を 8.00 × 10-5 mol/L とし、塩酸を加えても体積は変化しないものとする。


1. 4.04 × 10 mg
2. 2.22 × 102 mg
3. 4.84 ×102 mg
4. 5.27 ×102 mg
5. 2.52 ×103 mg

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

pH 、溶解度とあるので pH、pKa を用いた溶解度の公式を思い出します。酸性薬物の溶解度 CS は、分子形の溶解度を Cs分子 として「CS =CS分子(1+10pH-pKa)」で表されます。

pH = 10.3、pKa = 8.30 の時、Cs = 8.00 × 10-5 × (1+100) = 8.08 × 10-3 mol/L です。この値までしか溶けないが、フェニトインが ほぼ 1.00 × 10-2 mol/L 存在するため、溶けきれない分が沈殿として現れます。

求める沈殿の量は (1.00 × 10-2 – 8.08 × 10-3) mol/L × 1L × 252.27 g/mol です。計算すると、約 485 mg となります。


以上より、正解は 3 です。

コメント