国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R3年 問41解説

 問 題     

次に示すフェニトイン (ジフェニルヒダントイン、C15H12N2O2、分子量 252.27) は抗てんかん薬として広く用いられているが、弱酸性化合物であり水に溶けにくいため、フェニトインナトリウム (C15H11N2NaO2、分子量 274.25) の形で注射液として用いられることが多い。

次の記述の下線部 ㋐、㋑、㋒ のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

第十七改正日本薬局方では、注射用フェニトインナトリウムの定量法について、「本品 10 個以上をとり、内容物の質量を精密に量る。これを乾燥し、その約 0.3 g を精密に量り、分液漏斗に入れ、水 50 mL に溶かし、㋐希塩酸 10 mL を加え、㋑ 2 ‒ プロパノール 100 mL で抽出する。さらに ㋑ 2 ‒ プロパノール 25 mL ずつで 4 回抽出し、全抽出液を合わせ、水浴上で ㋑ 2 ‒ プロパノールを蒸発し、残留物を 105 ℃ で 2 時間乾燥し、質量を量り…」と規定されている。

また、フェニトインナトリウムの量は次の式で算出される。

フェニトインナトリウムの量(mg)= 残留物の量(mg)× ㋒1.087


1.㋐
2.㋐、㋑
3.㋐、㋒
4.㋑、㋒
5.㋒

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

フェニトインナトリウムは、抽出重量法を行う代表例です。

㋐ は妥当です。
希塩酸を加え、フェニトインに戻しています。

㋑ ですが
フェニトインナトリウムは、エーテルを用いて抽出した後、重量を測定します。「2 – プロパノール」はアルコールなので、誤りと考えられます。

㋒ は妥当です。
1.087 は、フェニトインとフェニトインナトリウムの分子量の比です。274.25 ÷ 252.27 で出しています。


以上より、正解は 3 です。

参考 分析化学まとめ 日本薬局方収載の重量分析法
https://yaku-tik.com/yakugaku/bs-2-2-2/

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