問 題
単原子分子から成る理想気体 2.0 mol を 、300 K で 1.0 × 105 Pa の状態 1 から 、450 K で8.0 × 105 Pa の状態 2 に変化させた。状態 2 のエントロピーS (2) と状態 1 のエントロピーS (1) の差 ΔS = S (2) -S (1) は 、およそいくらか。ただし 、気体定数を 8.3 J・K-1・mol-1 、loge 2 = 0.69 、loge 3 = 1.1 とする。
1. -24 J・K-1
2. -17 J・K-1
3.-8.7 J・K-1
4. 17 J・K-1
5. 24 J・K-1
解 説
【エントロピー変化 の基礎知識】
「等温過程のエントロピー変化」
→ ΔS = nRln(V2/V1)
「等積過程のエントロピー変化」
→ ΔS = ∫ nCv/T (T:T1 → T2)
※Cv は定積熱容量 単原子理想気体なら Cv = 3R/2
【状態 1 → 状態 2 の体積変化】
理想気体なので、状態方程式を思い出します。pv = nRT です。
状態 1 における体積を V とけば
状態 2 の体積は、圧力が 8 倍、温度が 1.5 倍になっているので、3V/16 と表すことができます。
状態 1 → 状態 2 は「温度も体積も一気に変化」しているので、これは複雑です。そこで、状態 1 と同じ温度で、状態 2 と同じ体積になった状態 a を考えます。
【状態 1 → 状態 a のエントロピー変化 (等温過程)】
ΔS = nRln(V2/V1) を使います。 V2 = 3V1/16 なので、( )の中身は 3/16 です。問題文より、n = 2 です。R はそのまま計算します。
ΔS = 2R × ln(3/16) となります。
ln(3/16)
= ln3 ー ln16
= ln3 ー 4ln2 です。問題文のただし… より
→ 1.1 – 4 × 0.69 = -1.66 です。
従って、状態 1 → 状態 a のエントロピー変化は
ΔS = -3.32R と表すことができます。
【状態 a → 状態 2 のエントロピー変化 (等積過程)】
ΔS = ∫ nCv/T (T:T1 → T2) を解きます。n = 2、Cv = 3R/2 です。
ΔS = 3R∫1/T (T:T1 → T2)
∫1/T = lnT なので
ΔS = 3R × (lnT1 ー lnT2)
= 3R × (lnT1/T2) ※T1 = 300、T2 = 450
→ 3R × (ln3/2)
= 3R × (ln3 ー ln2)
= 3R × (1.1 – 0.69)
= 1.23R です。
まとめると
状態1→ 状態2 のエントロピー変化は「-3.32R + 1.23R = -2.09R」 です。大体 -2.1R として、R = 8.3 より、選択肢から最も近い値を選べば -17 です。
以上より、正解は 2 です。
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