国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R2年 問91解説

 問 題     

図は、ヒト培養細胞について、細胞当たりの DNA 量を測定した結果である。この細胞に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

ただし、A 群、B 群、C 群に含まれる細胞数はそれぞれ、3000、1500、1500 とし、これらの細胞の倍加時間は約 24 時間とする。


㋐ この細胞に DNA ポリメラーゼ阻害剤を 24 時間作用させ、その直後に細胞当たりのDNA 量を測定したところ、A 群に含まれる細胞の相対的な数が増加した。

㋑ B 群の細胞の中には、紡錘体形成を開始しているものがある。

㋒ B 群の細胞では、染色体当たり一箇所の特定の部位から細胞周期当たり1 回だけ、DNA 複製が開始される。

㋓ この細胞の間期の長さは 18 時間よりも短い。


1.㋐
2.㋐、㋑
3.㋑、㋒
4.㋒、㋓
5.㋓

 

 

 

 

 

正解.1

 解 説     

細胞分裂サイクルは G1 期 → S 期 → G2 期 → M 期 に分類できます。M 期以外をまとめて間期と呼びます。A 群、B 群、C 群はそれぞれ 「G1 期」、「S 期」、「G2 期 及び M 期」に対応すると考えればよいです。

㋐ は妥当です。
DNA ポリメラーゼ阻害剤を投与したことで、S 期における合成が阻害されるため、細胞周期における S 期 チェックポイントが作動し、合成速度が減少します。その結果 S 期チェックポイント前の細胞数に対応する A 群が相対的に増加します。正解は 1 or 2 です。

㋑ ですが
B 群は S 期と対応します。紡錘体形成するのは M 期の細胞です。㋑ は誤りです。選択肢 2 は誤りです。


以上より、正解は 1 です。

コメント