国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R2年 問84解説

 問 題     

山中伸弥らによって樹立されたiPS 細胞(induced pluripotent stem cell)などの幹細胞及び関連する用語に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ 有性生殖での配偶子形成過程において、エピジェネティック修飾の消去及び再編成が生じることをリプログラミングと呼ぶ。

㋑ 胚性幹細胞は、胎盤を含めた全ての細胞に分化することができ、子宮に移植するなどの操作を行わなくても一個体を形成することができる。

㋒ iPS 細胞は、体細胞に少数のリプログラミング因子を導入し培養することで樹立され、様々な細胞に分化する能力とほぼ無制限に増殖する能力をもつ。

㋓ 胚性幹細胞の染色体数が二倍体であるのに対し、始原生殖細胞の染色体数が一倍体であるのは、始原生殖細胞がその後配偶子を形成するからである。


1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

㋐ は妥当です。
リプログラミングについての記述です。

㋑ ですが
胚性幹細胞とは、いわゆる ES 細胞です。ES 細胞や iPS 細胞は、それのみでは、受精卵のように一個体を形成することはできないとされています。㋑ は誤りです。

㋒ は妥当です。
ちなみにES 細胞も同様に、様々な細胞に分化する能力と、ほぼ無制限に増殖する能力を有します。

㋓ ですが
記述前半は妥当です。ES 細胞は二倍体です。後半ですが、始原生殖細胞の染色体数は「二倍体」です。「一倍体」ではありません。始原生殖細胞は、減数分裂を経て配偶子が形成されます。㋓ は誤りです。


以上より、正解は 2 です。

類題 107-93 幹細胞
https://yaku-tik.com/yakugaku/107-193/

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