国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R2年 問74解説

 問 題     

転写の仕組みに関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち,妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ 細菌では複数の遺伝子がまとまってモノシストロニック mRNA として転写されるが,真核生物では遺伝子が一つずつ転写される。

㋑ 大腸菌の RNA ポリメラーゼは 1 種類しかないが,真核生物には 3 種類の RNA ポリメラーゼがあり, 3 種類全てが遺伝子の転写に働く。

㋒ 真核生物の mRNA は,主に核内で行われるキャッピング,スプライシング,ポリアデニル酸の付加 (ポリアデニル化) などの修飾を受けて完成する。

㋓ 細菌のターミネーターは多様であり高次構造を形成することが共通した特徴であるが,真核生物のターミネーターは3 種類のストップコドンのみである。


1.㋐,㋒
2.㋐,㋓
3.㋑,㋒
4.㋑,㋓
5.㋒,㋓

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

㋐ ですが
モノシストロニックとは、1つの mRNA から1つのタンパク質を産生することです。対比されるのは、1つの mRNA から多タンパク質産生することを意味するポリシストロニックです。

細菌などの原核細胞において、複数の遺伝子がまとまって 1 つの mRNA として転写されるのは妥当です。しかしそれは「1 つの mRNA から複数のタンパク質が産生」されるので「ポリシストロニック」です。「モノシストロニック mRNA として転写される」わけではありません。㋐ は誤りです。


㋑ は妥当です。

原核生物と真核生物の RNA ポリメラーゼについての記述です。

㋒ は妥当です。
真核生物の mRNA における転写後修飾についての記述です。

㋓ ですが
ターミネーターとは、転写の終端を示す核酸配列部分です。細菌のような原核生物のターミネーターは2つに大別されます。すなわち、ρ (Rho) 因子依存性と、非依存性です。ρ 因子はヘリカーゼです。高次構造を形成するターミネーターが ρ 因子依存性で、形成しないのが非依存性といえるので「高次構造を形成することが共通した特徴」ではありません。

また、真核生物のターミネーターはストップコドンではありません。㋓ は誤りです。


以上より、正解は 3 です。

コメント