国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R2年 問57解説

 問 題     

化学物質の代謝反応は、極性基を導入する第Ⅰ相反応と、硫酸やグルクロン酸などとの抱合による第Ⅱ相反応に大別される。化学物質の代謝に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ ピボキシル基を有する抗菌薬の代謝には、主にカルニチンが関与する。

㋑ 異物代謝に関与するシトクロム P450 は、主に小胞体に存在する。

㋒ フェノールの代謝には、第Ⅱ相反応は関与しない。

㋓ 代謝された化学物質は、低分子量の場合は主に胆汁中に排泄され、高分子量の場合は主に尿中に排泄される。


1.㋐、㋑
2.㋐、㋑、㋒
3.㋐、㋒、㋓
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.1

 解 説     

㋐ は妥当です。
「ピボキシル基」とは「COOーtert」部分です。tert(ターシャル) は、トリメチル、十字架みたいな部分のことです。

ピボキシル基を有する抗菌薬投与
→ エステル部分が加水分解されて、活性本体+「ピバリン酸」となる。このピバリン酸がカルニチン抱合を受けて代謝されるため、カルニチン消費亢進して血中「低カルニチン」

→ 脂肪酸 「β 酸化できない」 

→ 「糖新生できないため低血糖」
という流れがありえる点をおさえておきましょう。


㋑ は妥当です。

P450 の局在についての記述です。

㋒ ですが
フェノール性 OH 基に対して、グルクロン酸抱合が知られています。そのため「フェノールの代謝には、第Ⅱ相反応は関与しない」わけではないと考えられます。㋒ は誤りです。

㋓ ですが
一般に、分子量が「大きい」薬物ほど胆汁中に分泌されやすいです。㋓ は誤りです。


以上より、正解は 1 です。

参考 胆汁中分泌
https://yaku-tik.com/yakugaku/yz-2-4-4/

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