国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R2年 問56解説

 問 題     

薬物相互作用に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ プロベネシドは、有機アニオントランスポーターによる尿細管分泌を阻害し、フロセミドの血中濃度を上昇させる。

㋑ シクロスポリンは、HMG‒CoA 還元酵素阻害薬 (スタチン) の肝取り込みを促進し、スタチンの血中濃度を低下させる。

㋒ キニジンは、P‒糖タンパク質における競合的阻害により、ジゴキシンの血中濃度を上昇させる。

㋓ 水酸化マグネシウムは、胃内の pH を上昇させるため、酸性薬物の吸収を上昇させる。

1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋐、㋓
4.㋑、㋒
5.㋑、㋓

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

㋐ は妥当です。
プロベネシドとフロセミドの相互作用についての記述です。

㋑ ですが
シクロスポリンとスタチンは、OATP 1B1 を介した相互作用が知られています。プラバスタチンの血中濃度は、シクロスポリンとの併用により「上昇」します。「低下させる」わけではありません。㋑ は誤りです。

㋒ は妥当です。
キニジンとジゴキシンの相互作用についての記述です。

㋓ ですが
pH 上昇 → アルカリ性に偏る → アルカリ性薬物の吸収を上昇 です。「酸性薬物の吸収を上昇」ではありません。㋓ は誤りです。


以上より、正解は 2 です。

類題 H28no53 
https://yaku-tik.com/yakugaku/km-28-53/

参考 代表的な薬物相互作用の機序
https://yaku-tik.com/yakugaku/yr-1-1-6/

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