国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R2年 問53解説

 問 題     

水に界面活性剤を添加したとき、臨界ミセル濃度以上で生じる現象に関する記述 ㋐ ~ ㋓ のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ 浸透圧は、ほぼ一定となる。
㋑ 可溶化力は、ほぼ一定となる。
㋒ 表面張力は、ほぼ一定となる。
㋓ ミセル濃度は、ほぼ一定となる。

1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

【臨界ミセル濃度の基礎知識】
界面活性剤を水に溶かすと、濃度が低い時は、ほとんどが疎水基を気相にむけて境界に集まります。ある程度の濃度になると、ミセルと呼ばれる、疎水基を内側にむけた球状の会合体を形成します。ミセルを形成し始める界面活性剤の濃度のことを、臨界ミセル濃度(c.m.c:critical micelle concentration)と呼びます。


臨界ミセル濃度以降、
ミセル濃度はだんだん増加すると考えられます。㋓ は誤りです。従って、選択肢 4,5 は誤りです。


界面活性剤の性質は、c.m.c を境に大きく変化するという特徴があります。界面活性剤の性質として、洗浄力を持つ、表面張力を下げるといったものがあります。
洗浄力は、c.m.c 以上の濃度で急激に増加します。表面張力は、c.m.c までは小さくなっていき、c.m.c 以上では、ほぼ変化しません

洗浄力 ≒ 可溶化力でよいと思われるので、㋑ は誤りです。㋒ は妥当です。


以上より、正解は 2 です。

参考 代表的な界面活性剤の種類と性質
https://yaku-tik.com/yakugaku/sz-1-2-2/

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