国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R2年 問47解説

 問 題     

受容体に関する記述 ㋐ ~ ㋔ のうち、妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ アンジオテンシン AT1 受容体は、G タンパク質共役型受容体で、受容体刺激により血管平滑筋の収縮を引き起こす。

㋑ ニコチン性アセチルコリン受容体は、陽イオン選択的なイオンチャネル内蔵型受容体で、受容体刺激により筋収縮を引き起こす。

㋒ 心房性ナトリウム利尿ペプチド受容体は、 1 回膜貫通型受容体で、受容体刺激により体液量の増加を引き起こす。

㋓ グリシン受容体は、K+ チャネル内蔵型受容体で、受容体刺激により運動神経抑制を引き起こす。

㋔ セロトニン 5 ‒ HT3 受容体は、G タンパク質共役型受容体で、受容体刺激により嘔吐を引き起こす。

1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋑、㋓
4.㋒、㋔
5.㋓、㋔

 

 

 

 

 

正解.1

 解 説     

㋐、㋑ は妥当です。
AT1 受容体は Gq 共役受容体です。N 受容体は、イオンチャネル内蔵型受容体です。

㋒ ですが
心房性ナトリウム利尿ペプチド (ANP) 受容体が1 回膜貫通型であることは妥当です。

ANP 受容体関連の薬といえば、カルペリチドです。ANP 受容体「刺激」薬のカルペリチドが「心不全治療薬」であることが基礎知識です。そのため、ANP 受容体刺激による体液量変化は減少と推測できます。「増加」ではありません。心不全時に体液増加すると心臓に負担増だからです。㋒ は誤りです。


㋓ ですが
グリシン受容体は Cl- チャネルです。「K+」ではありません。㋓ は誤りです。

㋔ ですが
5 - HT3 受容体は、Na+ ,K+ チャネル内蔵型受容体です。G タンパク質共役型受容体ではありません。㋔ は誤りです。


以上より、正解は 1 です。

類題 薬剤師国家試験 99-151
https://yaku-tik.com/yakugaku/99-151/

参考 代表的な薬物受容体、細胞内情報伝達系
https://yaku-tik.com/yakugaku/yr-1-1-4/

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