国家公務員総合職(化学・生物・薬学)R1年 問78解説

 問 題     

メタン発酵に関する次の記述の ㋐、㋑、㋒ に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「排水処理等に用いられるメタン発酵は ㋐ 環境下で起こる普遍的な微生物反応である。有機物からメタンが生成するまでには、いくつかの段階を経て、様々な微生物が関与するが、最終段階では、メタン細菌と呼ばれる微生物により、水素と二酸化炭素から又は酢酸などからメタンが生成する。

メタン細菌は ㋑ に含まれる原核生物である。メタン細菌により、水素と二酸化炭素からメタンが生成する過程では、二酸化炭素はホルミル基としてメタノフランに結合し、メタノプテリンに転移した後にメチル基に還元される。最後にメチル基は補酵素 ㋒ に転移し、そこでメタンに還元される。」

  ㋐ ㋑ ㋒
1.嫌気的 真正細菌 A
2.嫌気的 真正細菌 Q
3.嫌気的 古細菌  M
4.好気的 真正細菌 A
5.好気的 古細菌  M

 

 

 

 

 

正解.3

 解 説     

㋐ ですが
メタン発酵は「嫌気的」環境下でおきます。正解は 1~3 です。

㋑ ですが
真正細菌の代表例は、大腸菌、枯草菌などです。古細菌の代表例は、メタン菌、高度好塩菌、高度好熱菌などです。メタン細菌は「古細菌」に分類されます。

㋒ ですが
メタン菌のメタン生成経路におけるメチル基転位反応に必要な補酵素は、補酵素 M です。2-メルカプトエタンスルホン酸です。ちなみに、補酵素 A は「アセチル CoA」などの誘導体がよく知られています。補酵素 Q は、CoQ10 として知られています。

以上より、正解は 3 です。

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