国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H30年 問79解説

 問 題     

食品の保存と微生物に関する記述 ㋐〜㋓ のうち妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ 食品の水分活性は、食品中に存在する水のうち、微生物の生育等に利用され得る結合水がどの程度存在するかを示す一般的な尺度で、 0 から100 までの値をとる。

㋑ 食品のpH によって増殖する菌の種類が異なり、一般的には細菌は酸性の環境、カビ及び酵母はアルカリ性の環境でよく生育する。

㋒ 水温の低い海洋で捕獲された魚介類は、畜肉に比べて好低温性の細菌が多く、冷蔵保存における腐敗が畜肉に比べて速い。

㋓ 酸素の有無は、微生物の種類によって増殖への影響が異なり、好気的環境下において、ボツリヌス菌は生育できず、セレウス菌は生育できる。

1.㋐、㋑
2.㋐、㋒
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.5

 解 説     

㋐ ですが
食品中の水は、食品成分の一部と強く結合している結合水と、結合していない自由水の2種類に大別されます。食品中の自由水の割合を示す指標が水分活性です。食品を入れた密閉容器内の水蒸気圧と、その温度における純水の蒸気圧の比で定義されます。純水の方が大きいはずで、0 ~ 1 の値をとります。「0 ~ 100」ではありません。よって、㋐ は誤りです。

㋑ ですが
大部分の細菌は中性付近、カビや酵母は酸性付近でよく増殖します。よって、㋑ は誤りです。

㋒、㋓ は妥当な記述です。

以上より、正解は 5 です。

コメント