国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H29年 問52解説

 問 題     

抗腫瘍薬に関する記述 ㋐ 〜 ㋓ のうち妥当なもののみを全て挙げているのはどれか。

㋐ ニボルマブは、PDー1 とそのリガンドとの結合を阻害し、がん抗原特異的なT 細胞の活性化及びがん細胞に対する細胞傷害活性を増強する。

㋑ アナストロゾールは、アロマターゼの活性を阻害することにより、アンドロゲンからのエストロゲン生成を阻害し、女性ホルモンの血中レベルを低下させる。

㋒ パクリタキセルは、DNA 複製の際に重要な役割を果たすトポイソメラーゼⅠを阻害し、細胞分裂を阻害する。

㋓ イリノテカンは、DNA への架橋形成、アルキル化、フリーラジカルによるDNA 鎖切断を介してDNA の複製を阻害する。

1.㋐、㋑
2.㋐、㋑、㋓
3.㋐、㋓
4.㋑、㋒
5.㋒、㋓

 

 

 

 

 

正解.1

 解 説     

㋐、㋑ は妥当な記述です。

㋒ ですが
パクリタキセルは、チューブリンの脱重合を阻害し、有糸分裂を抑制することで細胞分裂を阻害して作用を示します。トポイソメラーゼⅠ阻害薬ではありません。よって、㋒ は誤りです。

㋓ ですが
イリノテカンはトポイソメラーゼⅠ阻害薬です。よって、㋓ は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

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