問 題
タンパク質の可溶化に用いられる界面活性剤に関する記述㋐〜㋓のうち妥当なもののみを挙げているのはどれか。
㋐ イオン性界面活性剤の作用は、共存するイオンの影響を受け、対イオンの存在によりミセルサイズは増大する。
㋑ 長鎖アルキル基をもつイオン性界面活性剤は、一般に界面活性作用が弱いため、膜タンパク質の活性を維持したまま可溶化するのに適している。
㋒ クラフト点の高いイオン性界面活性剤は、熱で失活しやすいタンパク質の活性測定を目的とした可溶化に適している。
㋓ 界面活性剤は、それぞれ固有の臨界ミセル濃度をもち、その値が小さいほど透析による除去が困難となる。
1.㋐、㋑
2.㋐、㋓
3.㋑、㋒
4.㋑、㋓
5.㋒、㋓
正解.2
解 説
㋐ は妥当な記述です。
㋑ ですが
「非イオン性または両イオン性の界面活性剤」は、一般的にイオン性の界面活性剤よりもマイルドで、タンパク質の変性が少ないことが知られています。よって、㋑ は誤りと考えられます。
㋒ ですが
クラフト点以上でミセル形成です。従って、熱で失活しやすいタンパク質に対して用いるのは不適切と考えられます。よって、㋒ は誤りです。
㋓ は妥当な記述です。
ミセルは透析膜を通過できません。従って、臨界ミセル濃度(cmc) 以下に希釈しないと透析除去できません。そのため、cmc が小さいと除去が困難です。
以上より、正解は 2 です。
コメント