国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H28年 問36解説

 問 題     

誘電物質に関する次の記述の㋐〜㋓に当てはまるものの組合せとして最も妥当なのはどれか。

「BaTiO3 などペロブスカイト型構造をとる物質には、ある温度以上では、対称構造をとり、電荷が中和されているが、それ以下では、陽イオン、陰イオンが対称からずれた位置を占めるものがある。この場合、正電荷の重心と負電荷の重心が一致せず、外部からの電場の作用なしでも分極する。これを自発分極という。

自発分極をもち、その分極の方向を外部電場で変えることができる物質を㋐という。㋐は、その自発分極の方向に伸縮させると、分極が小さくなったり大きくなったりする。このような性質を㋑という。これを利用しているものに、ガスレンジの点火装置や、超音波洗浄機の振動子、超音波診断装置などがある。

また、 ㋐は、加熱・冷却による熱膨張・熱収縮などによっても分極が変化する。このような性質を ㋒ という。これを利用しているものに、人体識別センサ、赤外線方式の防犯センサなどがある。㋒ をもつ物質の ㋓ が ㋑ を示す。」

㋐ ㋑ ㋒ ㋓
1.強誘電体 圧電性   焦電性  全て
2.強誘電体 圧電性   焦電性  一部
3.強誘電体 焦電性   圧電性  全て
4.焦電体  強誘電性  圧電性  全て
5.焦電体  強誘電性  圧電性  一部

 

 

 

 

 

正解.1

 解 説     

㋐~㋒ ですが
自発分極をもち、その分極の方向を外部電場で変えることができる物質は、「強誘電体」です。強誘電体は、自発分極方向に伸縮させると、分極が変化します。この性質を「圧電性」といいます。「焦電体」とは、温度変化により誘電体の分極(表面電荷)が変化する物質です。代表例は、チタン酸ジルコン酸鉛 です。正解は 1 or 2 です。

㋓ ですが
焦電体は、圧電効果を示します。つまり、焦電体であれば、圧電性を有します。㋓は「全て」です。

以上より、正解は 1 です。

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