国家公務員総合職(化学・生物・薬学)H27年 問91解説

 問 題     

がん細胞に関する記述㋐~㋓のうち妥当なもののみを挙げているのはどれか。

㋐ 核小体の大きさや細胞質に対する核の割合は、がん細胞の悪性度の指標として用いられる。
㋑ がん細胞は、培養状態における成長に物理的な付着を必要としない。これを、接触阻止現象の喪失と呼ぶ。
㋒ がん細胞の不死化の要因の一つとして、テロメラーゼの活性化が知られている。
㋓ 多段階発がん説とは、一対のがん抑制遺伝子の両方が不活性化されることが、細胞のがん化に必要であるという考え方である。

1. ㋐ ㋑
2. ㋐ ㋒
3. ㋑ ㋒
4. ㋑ ㋓
5. ㋒ ㋓

 

 

 

 

 

正解.2

 解 説     

㋐ は妥当な記述です。
核小体が増大したり、細胞質に対する核の割合(N/C)が大きくなったりする傾向が見られます。

㋑ ですが
接触阻止現象とは、細胞がお互いに接触するまで増殖した場合に起こる、細胞の増殖が停止する現象のことです。がん細胞では接触阻止が喪失しており、際限ない増殖を行います。よって、㋑ は誤りです。

㋒ は妥当な記述です。

㋓ ですが
多段階発がん説とは、複数の遺伝子が順次異常を起こすことで段階的にがんが発生するとする説です。よって、㋓ は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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