問 題
フロン等によるオゾン層破壊に関する次の記述のうち最も妥当なのはどれか。
1. オゾンは大気中の酸素分子が太陽からの紫外線によって解離して生じた酸素原子が、他の酸素
分子と反応することによって生成し、中間圏に滞留して層(オゾン層)を形成している。
2. 紫外線とは波長が 10~ 400nm の電磁波であり、オゾン層において、太陽光の中の紫外線は
全ての波長において吸収され、地上に到達するものは極めて少ない。
3. フロンとは低級炭化水素の水素がフッ素に置換されたものの総称であり、炭素に水素とフッ素
のみが結合している HFC(ハイドロフルオロカーボン)は、炭素に塩素とフッ素のみが結合してい
る CFC(クロロフルオロカーボン)より大気中で分解しにくい。
4. オゾン層において、オゾンは生成・消滅を繰り返し、平衡状態を保っているが、フロンの光分
解反応によって生成するフッ素原子は、オゾン生成を阻害し、オゾン層減少を引き起こす。
5. オゾン層を破壊する物質として規制されているものには、フロンの他に、四塩化炭素、1,1,1-トリクロロエタン、臭化メチル等がある。
解 説
選択肢 1 ですが
地球の大気の層は、地表側から対流圏→成層圏→中間圏→熱圏→外気圏と分類されます。オゾン層が形成されるのは「成層圏」です。中間圏に滞留ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。オゾン生成のメカニズムについては妥当な記述です。
選択肢 2 ですが
紫外線は、約 100 ~ 400 nm の電磁波です。生体への影響から大きく 3 つに分類されます。UV-A,UV-B,UV-C です。波長が長い UV-A はほぼオゾン層に吸収されず地表へ到達します。UV-B はオゾン層に吸収されますが、一部が地表へ到達します。UV-C はほぼすべてオゾン層に吸収されます。「紫外線は全ての波長において吸収され」という記述は誤りです。
選択肢 3 ですが
フロンの定義はそのとおりです。HFC は代替フロンの一種、CFCは、特定フロンの一つです。クロロフルオロカーボンの方が安定で、いうなればよりやっかいなフロンなので特別に指定されています。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
オゾン層を破壊するのは「塩素原子」です。触媒として働きます。フッ素原子ではありません。よって、選択肢 4 は誤りです。
以上より、正解は 5 です。
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