多細胞生物が外界の変化を、情報伝達系により速やかに把握したとしても、それだけではホメオスタシスの維持にはつながりません。暑いなら汗をかく、寒いなら震えて熱産生を行うといった適切な行動、反応を担うために「様々な細胞の働きを調節」する必要があります。神経系、内分泌系が調節を担っています。
調節のために、神経系と内分泌系という「2つ」のシステムが発達したのはなぜでしょうか。一つの考え方としては、「主に急速な変化に対する調節」を担うシステムと、「ある程度緩やかな変化に対する調節」をそれぞれが担い、お互いが協調的に作用することで、多様な環境の変化に伴う調節機構を実現していると考えられます。(同じようなことをしているが、役割が違うシステムが協調的に作用するといえば、政治における二院制(衆議院・参議院)もあげられます。個体レベルから社会レベルまで見られる共通形式に、個人的に面白さを感じます。)
神経系の中で、自動的に筋肉や分泌腺を調節しているのが自律神経系です。自律神経系は交感神経系と副交感神経系からなります。間脳視床下部が、自律神経系を調節しています。イメージとしては、交感神経系はアクセル、副交感神経系はブレーキです。様々な器官を二重支配し、お互いが拮抗的に働きます。
内分泌系の特徴は、ホルモン分泌線により分泌物が直接血中に放出されるという点です。代表的な内分泌器官としては、脳の下垂体、松果体、甲状腺、副腎などがあります。下垂体(後葉)からバソプレシンという尿に関与するホルモンが、松果体から睡眠に関わるメラトニンというホルモンが、、、といったように、各器官に対応したホルモン(実体はペプチドや低分子)が分泌されます。
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