細胞、組織、器官

生物の機能的最小単位は細胞です。細胞1個からなる生物を単細胞生物といいます。代表例は大腸菌、アメーバ、ミドリムシなどです。一方、細胞が多数集まってできている生物は多細胞生物です。ヒトは約 37 兆個の細胞から成ると推定されています。

細胞内には、糖質、タンパク質、脂質などの高分子が無数に含まれています。生体内における高分子化合物を生体高分子と呼びます。これらの分子による多様な反応が生命現象を担っています。

同じような機能、構造を持つ細胞が多数集まったものが組織です。ヒトの組織は一般に、上皮組織、支持(結合)組織、筋組織、神経組織の4つに分類されます。

組織が組み合わさって機能を担う集合体が器官(臓器)です。さらに、器官の集合体が器官系を構成します。

器官系の一例として、「循環系」という「体液を体内で循環させるシステム」について考えてみましょう。循環系は、心臓、肺、血管といった様々な器官からなるシステムです。そして、例えば心臓という器官に注目すると、心筋、筋肉を調節する自律神経などの様々な組織が組み合わさってできています。それぞれの組織をさらに詳しくみると心筋は多数の心筋細胞から構成されています。「器官系→器官→組織→細胞」という階層構造を具体的にイメージすることができるのではないでしょうか。そして、このような器官系の集合体として、生物が構成されています。

このような見方を知ると、現在画面を見ている「眼」とは何でしょうか。外部情報、とりわけ光刺激を取り入れるための感覚器系を構成する一つの器官(臓器)といえます。すると眼はどのような組織から成り立つのか、その組織を構成する細胞は他の組織における細胞とどんな違いがあるのか・・・?といった興味・関心がいっぱい出てきて、1つずつ調べていった結果できた系統的知識が生物学といえます。

「生物学的観点から成り立ちについて語る」とは、このような階層構造に基づいた記述といえます。化学的記述では、生命は「原子という構成要素から、C、H、O、N 等の無数で多様な結合に基づく超高分子」と記述できるし、物理的観点からは、「開放系」といった記述になります。全く異なる観点であることが実感できるのではないでしょうか。

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