症例対照研究とは、ある疾病をもつ患者群ともたない患者群に対して、特定の要因への暴露状況を調査・比較することで要因と疾病の関連を評価する研究手法のことです。別名後ろ向き研究とも呼ばれます。
例としては、肺がんになった人たち100人と、肺がんになったことのない人たち100人を集め「喫煙歴はありますか?」といった質問をして分析を行う研究です。
例として上のような結果になったとします。症例対照研究においては、オッズ比という指標を用いてその要因の疾病に対する関連の強さを表現します。オッズ比が1であれば関連はないです。オッズ比が1より高いほど関連が強いと考えられます。オッズ比が1より小さければ、その要因は疾病発生の減少と関連があることを示し0に近いほど関連が強いと考えられます。
オッズ比の求め方ですが、左上を a ,右上を b ,左下を c ,右下を d とした時、ad/bc です。たすきにとって、比をとると覚えるとよいかもしれません。
この例では、80×50/50×20=4000/1000=4となります。喫煙と肺がんの関連が高いのではないかと、この結果からは考えることができます。
ここで注意しなければならないのは、オッズ比が高いからといって、それが疾病の真の原因とは限らないという点です。一つの考え方ですが、煙草をよく吸うということと、仕事におけるストレスを強く感じることが高い相関があり、真の肺がんの原因はストレスが大きな寄与を果たしているという事実があったとします。するとこの調査から直ちに「たばこを吸うと、肺がんになる」という結論を出すのはおかしいことになります。
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