総評
生化学系 について
・国試対策として
- 「ヴォート基礎生化学+知っておきたい生薬100」推奨
- 免疫学(ベーシック薬学シリーズ)があると便利
- 免疫学の試験を暗記で乗り切っていて全然ピンとこない場合「初めの一歩は絵で学ぶ 免疫学」をまず使うのがイチ押し
・生命科学系院試対策であれば Essential 細胞生物学 のまとめをひたすら覚えた上で、過去問 10 年分ぐらい解けば上位合格狙えると思います(実例あり)。
衛生系 について
・衛生薬学(改訂第2版): 基礎・予防・臨床 おすすめです!
書籍のレビュー
ヴォート基礎生化学
生化学の基礎は、ヴォート基礎生化学の各章末 見開き2ページ以内でまとまっている「各章のまとめ」で必要十分です!生体分子、タンパク質、生体膜、酵素、代謝、遺伝子の発現と複製に関して、化学を基礎とした堅牢な基礎固めができます。
章末問題の解答は web 上で公開されており、問題演習も無駄に悩む必要なし。
- 各章のまとめが最高!
- 本文の記述が面白くてわかりやすい
- 演習問題が少しだけ取ってつけたような問題目立つ気がする…。読んでしっかりポイントを覚えれば十分な印象
免疫学(ベーシック薬学シリーズ)
ベーシック薬学教科書シリーズの本を手元においておくと「薬学に関する◯◯学」について一冊でカバーすることができて便利です!
薬学では、生化学のみならず、薬理学や病態治療学などにも免疫学が関連します。つまり、「薬学免疫学」であるといえます。アレルギーや自己免疫性疾患 及びその治療薬や、抗体医薬品といった分野にまたがってくるという意味です。
ある科目を学んでいる時に「古典経路を介して」ってなんだったけ・・・。「あっ、インターロイキンが出てきた。ん、、、IL-1,6,12の役割って?どこで見たっけ。。。どれかと関連する分子標的薬があった気がする・・・」など、毎回引っかかってもやもやする人もいるのではないでしょうか。ある項目が関連する薬学関連事項をさっと復習できるという意味で、手元において損のない一冊です。
ちなみにですが
免疫分野の特徴として、固有の聞き慣れない言葉が多く出てくる点があげられます。そもそも免疫学関連がどうもすっきりしない、よくわからない似たような文章の羅列を試験前に覚えて、終わったら忘れていて要領を得ない・・・という人は、このテキストがあんまり好きになれないかもしれません。
その場合は、後述する「初めの一歩は絵で学ぶ 免疫学 「わたしの体」をまもる仕組み」で、鍵となるイメージをビジュアルに把握してからこのテキストを使うと、免疫学が好きになれるのではないかと思います。ぜひ参考にしてみてください!
- 薬学関連の免疫学についてカバー
- 章末問題解説 web で公開
- 初学者向きとはいえない
Essential 細胞生物学
院試対策に!
この本+過去問で十分だと思われます。
- 生命科学系院試対策に十分な内容、量
- 国試対策としては詳しすぎ。不要
薬学生・薬剤師のための 知っておきたい生薬100
下手すると手持ちの本で一番目にする 写真、文章、構造 が目白押しの一冊。「薬学生・薬剤師のための知っておきたい◯◯」シリーズはどれも情報量と密度が大きくて役に立つのですが、その中でもこの一冊は白眉!類書なし。改ページ全くないレイアウトも、ページ数をおさえるための工夫と考えれば、むしろありがたい。
約 20 ページの付録がまた有意義。
漢方医学用語(陰陽、六病位、虚実等)、漢方薬と適応疾患の対応表、二次代謝産物に関する端的な生合成経路のまとめ、植物用語図解 といったかゆいところに手が届く項目群。薬剤師として生活していく中でも必ず有用な一冊と思います。
- 情報量が豊富!生薬有効成分の構造式、漢方処方等もしっかり記載
- 付録も充実♪
- なし
微生物学・感染症学(ベーシック薬学シリーズ)
微生物学だけでなく、感染症及びその治療薬についてもまとまっており、薬学に関する微生物関連を一冊でカバーしている点が特徴。
実習や実験における課題に大してすごく有用。
手元にあると便利なのだが、国試対策としては少しオーバースペックである印象です。
- 薬学に関する微生物関連を一冊でカバー
- 国試には少しオーバースペック
初めの一歩は絵で学ぶ 免疫学 「わたしの体」をまもる仕組み
免疫学を暗記で乗り切ってきた人や未習の人に強く推奨。
免疫の基礎概念について、すっきりと理解できる一冊。ベーシック薬学シリーズの免疫学を手元に置く前に目を通すのが推奨使用法。この本の「図」がとにかくいいです。図だけ基本的に見て、ぴんとこなかったことを本文で軽く補足すればよりスムーズに読み進めることができると思います。
- 図がわかりやすい。まずこれを読みたかった!
- レイアウトも簡潔な見開き
- あくまでも免疫学の基礎のみ。国試対策としては不十分
衛生薬学(改訂第2版): 基礎・予防・臨床
衛生薬学の範囲は膨大です。
栄養学、食品衛生学、公衆衛生学、疫学、環境科学、病原微生物学、毒性学等を含み、薬学を学ぶということの大きな意義ともいえる分野です。
薬剤師法の第一条によれば
「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。」とあります。衛生という観点が本質的であることが法の条文からも伺えます。
様々な本がありますが、衛生薬学に関してはこの一冊を推奨します。コンパクトである点と、十分な情報量を兼ね備えていて非常に使い勝手がいいです。
重要項目が太字で色も付いており、大量の情報から必要な情報がすぐに見つかります。さらに網羅性が高く、衛生分野に関連する事項を目にして「あれって何だったっけ?」と思った時に、重要用語を鍵として教科書該当部分付近について少しずつ読み進めると、どんどん知識が確かなものに固まります。
薬剤師国家試験対策としてだけでなく、食品衛生監視員や、公務員衛生職等に興味がある人にも推奨の一冊です!
- 衛生薬学分野を網羅
- 見やすい、わかりやすい
- 食品衛生監視員、公務員衛生職受験にも役立つ
- なし