総評
物理化学系 について
・薬学専攻の方は
「物理化学(ベーシック薬学教科書シリーズ)」 + 「アトキンス 生命科学のための物理化学」 のセットが一押しです。
・国試の点の底上げに
「最新臨床検査学講座 放射性同位元素検査技術学」がおすすめです。
分析化学系 について
・「分析化学(ベーシック薬学教科書シリーズ)」+「クリスチャン分析化学Ⅰ基礎編」推奨
・「クリスチャン Excelで解く分析化学」は、社会に出た後に必ず生きる経験につながると思うので、特に低学年や時間に余裕のある人におすすめ。逆に国試を控えた受験生等は絶対非推奨。
書籍のレビュー
アトキンス 生命科学のための物理化学
「学校の指定教科書が ~~の物理化学 上下」といった本で、読んでも全くピンとこなかった薬学生に全力でおすすめしたい参考書です。本当に同じ物理化学なのかというくらい読みやすいです。「生命科学のための」とついているのは、伊達じゃない。
内容面として、数式に関する補足が多い上に、数学的概念の要点については「数学の手法」という別枠で分けてくれている点が特徴です。このため、本文部分で数学的疑問や行間が全く読めない数式で頭を悩ますことがありません。
また、章末の重要事項チェックリストが簡潔にまとまっています。ピンポイントで知りたい概念は索引から、章単位で理解を深めたい時にはまずチェックリストで全体を把握しておくとよりスムーズに読むことができます。
形式面として多色カラー刷りで目に優しい、巻末資料が生命科学、化学的構造の観点からまとまっていて役に立つ、アミノ酸、核酸、脂質、タンパク質などの一覧があるといった特徴があります。ぜひ見てほしい一冊です。
- 学習のための構成工夫(「数学の手法」「チェックリスト」など)のおかげでわかりやすさ抜群!
- 生命科学系学習における網羅性
- ハマると物理化学に勉強が偏ってしまうかもしれない
アトキンス 物理化学要論
こちらは純粋に物理化学として、アトキンスを1冊にコンパクトにまとめてくれた一冊!
「薬学に必要な物理化学」から「専門としての物理化学」を学ぶ際に「1冊にコンパクトにまとまった教科書」として非常におすすめです!上下巻だと、現実的に持ち歩きづらい・・・と一度でも思った事がある人はぜひ手にとってほしいと思います。
- 上下巻に分かれていない
- 薬剤師国家試験がゴールの場合、オーバースペック
アトキンス物理化学要論問題の解き方(英語版)
英語ですが、問題の解き方あります。有機化学のボルハルトもそうですが、問題を解きつつ学ぶ場合「問題の解き方」は絶対あった方が勉強しやすいです!
- 独学でかかる時間を大きく削減
- 薬剤師国家試験には不要
最新臨床検査学講座 放射性同位元素検査技術学
これまで色んな本を見たけど最高にコンパクト!その上、一つ一つの概念について一歩深い理解ができます。専門分野は専門家が学ぶものを見るべきとしみじみ感じた一冊です。
薬剤師国家試験 理論の物理化学、理論の生化学で貴重な点を確保できる分野が放射線物理学です。この分野の勉強がとてもはかどるようになる一冊です。おすすめの一冊です!
- コンパクト!
- 説明が端的かつ詳しい
- 演習という観点は重視されていない
物理化学(ベーシック薬学教科書シリーズ)
ベーシック薬学教科書シリーズの本を手元においておくと「薬学に関する◯◯学」について一冊でカバーすることができて便利です!
薬学で学ぶ物理学は、数冊の教科書の薬学関連範囲をピックアップして一つにまとめたような「薬学物理化学」であるといえます。具体的に言うと『基礎的範囲の熱力学など』+『流体力学の一分野であるレオロジーのような』応用分野の一部 + 薬学特有の『製剤における溶解・分散など』を横断するということです。そのため、一般的な物理化学の教科書だけでは薬学物理化学をカバーしきれません。
それぞれの範囲に対応する参考書を揃えようとすると、物理化学関連だけで3~4冊のやや大きい教科書となり、しかもそれぞれの一部しか使わないという状況になります。
すると特に授業の内容に疑問が積み重なったり、試験や模試が悪かった時などに「本の厚みに気持ちが押しつぶされる」ような感覚になって勉強したくなくなる・・・といった流れで負のループを感じる人、少なからずいるのではないかと思います。
ベーシック薬学教科書シリーズは、一科目を一冊でコンパクトかつ必要十分にまとめてくれています。物理化学の各章末演習問題は、解説が web 上で公開されており(「ベーシック薬学 物理化学 解答」などで検索すればすぐ見つかると思います。)勉強しやすくなっています。
国試過去問と、ベーシック教科書シリーズで、薬学の勉強は独学でも十分可能になったと感じます。自分が学生の時に読みたかった教科書シリーズです。おすすめです!
- 一冊で薬学に関する物理化学を網羅
- 章末問題解説 web で公開
- 一般的物理化学の教科書としては、物足りない部分、余計な部分あり
クリスチャン分析化学 原書 I.基礎編
分析化学が、自信を持ってわかるようになる一冊です。
中和問題、沈殿滴定等の計算問題について例題の網羅性が高く、かつ、解説がとても丁寧な点が特徴です。
計算問題の解説を読んで「えっ、この いきなり出てきた 10(7.40-7.12)って何だ?」といった疑問から計算問題が嫌いになり、結果として分析化学全般に嫌な気持ちを抱いている人が、少なからずいるのではないでしょうか。クリスチャンならそんな気持ちとは無縁で学べると思います。
さらに、他の教科書等で詳しく触れられていないことが多いが、試験ではちょこちょこ目にする用語や概念(ガラス器具、pH メーターの原理、前処理、データ処理など)にも十分すぎるページが割り振られており、わかりやすい点が特におすすめする特徴です。
- 計算問題の例題豊富 かつ 丁寧に解説
- 試験に出るがマイナーな用語についても、十分量の詳細な記述
- 章末問題が豊富すぎるため、ハマりすぎると他の科目をおろそかにしてしまうおそれあり
クリスチャン分析化学 原書 II.機器分析編
機器分析について、原理から応用分野までを幅広く網羅。辞書。分析化学を専門とするような方が手元に置いておくと非常に有用と思われます。
薬剤師国家試験対策としては、少し過剰な内容となります。
- 辞書的な詳しさ
- 分析化学を専門とする場合を除き、不要な内容が多い
クリスチャン Excelで解く分析化学
社会に出た後を見据えた参考書として紹介します。
※Excel 必要です。
※サンプルデータなどは web からダウンロードできます。
専門的知識をコンピュータを通じて活用できなければ、現代において専門を学んだ意味は激減すると、強く感じています。また、表計算ソフトを始めとした種々のソフトウェアの使用に抵抗がない、というのがどれほどの強みになるか計り知れないと実感します。これは企業に勤める、公務員となる、日常生活をすごす、あらゆる場面においてです。
統計処理や繰返し計算といった処理を、分析化学の課題を通じて身につけるとともに、代表的表計算ソフトである Excel の扱いや関数に馴染むことができる一冊です。直接活用しなくても、企業、公務員、日常生活、あらゆる面での確かな基礎力の上積みができると思います。
あくまでも社会に出た後を見据えたものとしての紹介ですので、おすすめは学部 の低学年~余裕のある時期です。国試直前の学生や、定期試験、期末試験直前などには絶対に手を出してはいけません。
- 社会に出てから役立つ力を身につけることができる
- Excelが必要
- 余裕がないと手を出してはいけない
分析化学(ベーシック薬学教科書シリーズ)
ベーシック薬学教科書シリーズの本を手元においておくと「薬学に関する◯◯学」について一冊でカバーすることができて便利です!
薬学で学ぶ分析化学の特徴は、なんといっても日本薬局方関連分野の存在です。各学校における中間試験、期末試験、国試における定量問題、、、と根深くネックになる分野ではないでしょうか。
ベーシック薬学教科書シリーズの分析化学は、一科目を一冊でコンパクトかつ必要十分にまとめてくれています。薬局方関連についても網羅性が非常に高いです。分析化学の各章末演習問題は、解説が web 上で公開されており(「ベーシック薬学 分析化学 解答」などで検索すればすぐ見つかると思います。)勉強しやすくなっています。
国試過去問と、ベーシック教科書シリーズで、薬学の勉強は独学でも十分可能になったと感じます。自分が学生の時に読みたかった教科書シリーズです。おすすめです!
- 一冊で薬局方関連も含めた分析化学を網羅
- 章末問題解説 web で公開
- 一般的分析化学の教科書としては、物足りない部分、余計な部分あり