問 題
病院において薬剤師Yは、薬物Aを投与されている高血圧患者と投与されていない高血圧患者において、消化器症状の発現率に差があるかを調査することとした。なお、高血圧患者に薬物Aを投与するか否かは、それぞれの主治医による薬物治療上の判断により、薬剤師Yは介入しないものとする。
この研究に該当するのはどれか。1つ選べ。
- ランダム化比較試験
- コホート研究
- 症例対照研究
- 決断分析
- 処方イベントモニタリング
解 説
ランダム化比較試験とは、治療群と対照群のランダムな割り当てを行い、対照群には、偽薬、あるいは比較のための治療を行う試験です。特徴としては、改善度に関する尺度として、エンドポイントが存在し、研究者、被験者は共に治療群か対照群かを知りません。本研究は、主治医が治療群及び対照群を振り分けていることから、ランダム化比較試験ではありません。
コホート研究とは、要因対照研究や、前向き研究とも呼ばれ、特定の要因に暴露した集団と、暴露していない集団を一定期間追跡し、疾病の発生率を比較するような研究です。
症例対照研究とは、疾病に罹患した集団を対照に、暴露要因を評価する研究です。後ろ向き研究とも呼ばれます。本研究は、まだ疾病に罹患している患者が対象ではないので、症例対照研究ではありません。
決断分析とは、臨床現場で下す決断について、起こりうる結果を確率論的に検討し、より良い結果が得られる選択肢を選び出すような研究です。既存の文献などを元に行います。二次研究、すなわち、すでに発表されているデータを利用した研究です。本研究は、すでに発表されているデータを利用する研究ではないので、誤りです。
処方イベントモニタリングとは、特定の医薬品を対象として、医薬品を使用して起こった変化、症状などの出来事を収集し、記録することです。本研究は、薬物Aを使用した患者と、使用しない患者がおり、処方イベントモニタリングではありません。
以上より、正解は 2 です。
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