問 題
図は、ある内分泌器官の顕微鏡像をスケッチしたものである。この器官に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。
- A層から分泌されるホルモンは、腎臓に作用してNa+や水の再吸収を促進し、体液を保持する。
- B層から分泌されるホルモンには、抗炎症作用、免疫抑制作用がある。
- C層から分泌される主要なホルモンは、ペプチドホルモンである。
- 皮質の機能が亢進するとアジソン病になる。
- 髄質を支配する交感神経終末からは、ノルアドレナリンが放出される。
正解.1, 2
解 説
スケッチには、髄質、皮質とある事から、組織は副腎であると考えられます。副腎皮質から分泌されるホルモンは、多数のステロイドホルモンです。副腎髄質から分泌されるホルモンは、カテコラミンです。A層は、球状帯、B層は、束状帯、C層は、網状帯と呼ばれます。
球状帯から分泌されるのは、主に鉱質コルチコイドです。腎臓に作用して、Na+や水の再吸収を促進し、体液を保持します。
束状帯から分泌されるのは、主に糖質コルチコイドです。抗炎症作用や、免疫抑制作用があります。
網状帯から分泌されるのは、主にアンドロゲンです。よって、ステロイドホルモンであり、ペプチドホルモンではありません。選択肢 3 は誤りです。
アジソン病とは、副腎皮質ホルモンが何らかの原因で、必要な量を分泌できなくなった状態のことです。副腎皮質機能低下症とも呼ばれます。よって、選択肢 4 は誤りです。
ふつう、交感神経終末からは、ノルアドレナリンなどにより神経伝達が行われますが、副腎髄質を支配する交感神経は少し特殊です。すなわち、副腎髄質を支配する交感神経は、中枢神経から出たのち、神経節でニューロンを乗り換えることなく直接副腎髄質へと到達しています。神経終末では、アセチルコリンを放出します。(つまり、副腎髄質と、神経細胞は同じようなこと(アセチルコリンを受け取り、アドレナリンやノルアドレナリンを放出)をやっているということです。)よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,2 です。
コメント