問 題
65歳女性。関節リウマチで内服薬を服用していたが、十分な治療効果が認められなかったため、モノクローナル抗体(遺伝子組換え)製剤が投与されることとなった。
問280
次の製剤のうち、関節リウマチに適応があるのはどれか。2つ選べ。
- アダリムマブ皮下注
- ウステキヌマブ皮下注
- トシリズマブ点滴静注用
- トラスツズマブ注射用
- バシリキシマブ静注用
問281
前問で選択した2種の注射剤に共通する記述として、正しいのはどれか。2つ選べ。
- 密閉容器に保存されている。
- 遮光し、2~8℃で保存する。
- 生理食塩液に対する浸透圧の比は6である。
- 無菌試験法に適合する。
正解.
問280:1, 3
問281:2, 4
解 説
問280
選択肢 1 は、正しい選択肢です。
アダリムマブ(ヒュミラ)は、ヒト型抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体です。関節リウマチの他、クローン病や潰瘍性大腸炎などにも適応があります。
選択肢 2 ですが
ウステキヌマブ(ステラーラ)は、ヒトインターロイキン12及び23の p40 サブユニットに対する遺伝子組み換えヒトIgG1モノクローナル抗体です。適応は、尋常性乾癬や関節症性乾癬です。リウマチには適応がありません。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は、正しい選択肢です。
トシリズマブ(アクテムラ)は、ヒトインターロイキン6レセプターモノクローナル抗体です。関節リウマチ等に適応があります。
選択肢 4 ですが
トラスツズマブ(ハーセプチン)は、細胞の増殖に関与する HER2タンパク質を標的とするヒト化モノクローナル抗体です。乳がん等に適応がありますがリウマチには適応がありません。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
バシリキシマブ(シムレクト)は、ヒトインターロイキン2受容体に対するヒト/マウス キメラ型モノクローナル抗体です。適応は、腎移植後の急性拒絶反応の抑制です。リウマチへの適応は、ありません。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,3 です。
問281
選択肢 1 ですが
密閉容器とは、固体の侵入を許さない容器で、代表例は紙袋や箱です。注射剤の容器は、密閉容器ではありません。ちなみに固体及び液体の侵入を許さないのが気密容器です。気体も通さず、最も密閉度の高い容器が密封容器です。注射器は、密封容器にあたります。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は、その通りの記述です。
ペプチドなので、分解や変性を避けるため遮光し、冷所保存します。また、凍結を避けるためにこのような温度範囲に規定されています。
選択肢 3 ですが
浸透圧比が5を超えたあたりからは、末梢静脈からの投与が難しく中心静脈からの投与となります。よって、選択肢 3 は誤りです。ちなみに、ヒュミラについては浸透圧比が約1とのことでした。又、アクテムラについては浸透圧比が0.5~1 ということでした。
選択肢 4 は、その通りの記述です。
注射剤であることから、正しいと判断できたのではないかと考えられます。
以上より、正解は 2,4 です。
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