問 題
52歳男性。身長170cm、体重65kg。3年前、胃がんのため胃亜全摘切除手術を受け、近医で経過観察していた。今回の定期検診で肝転移が見つかり、化学療法導入目的で大学病院に紹介入院となった。
全身倦怠感、動悸を自覚しており、貧血に対して処方1の薬剤が処方されていたが、入院時の血液検査の結果により、処方1に替えて処方2が開始された。
問304
処方2について、看護師から病棟薬剤師に、投与前後の注意事項や観察項目に関する情報提供の依頼があった。回答として誤っているのはどれか。1つ選べ。
- 希釈するときは生理食塩液を用いてください。
- 配合変化が起こりやすいので、注意して点滴ルートを観察してください。
- ゆっくり(2分以上かけて)投与してください。
- 血管外漏出がないかどうか、投与部位の疼痛や腫脹に注意してください。
- 投与後、頭痛の訴えや顔面潮紅などがないか観察してください。
問305
処方2を2週間実施した後に血液検査が実施され、以下の結果が得られた。
RBC 340万/μL、Hb 10.2g/dL、Ht 30.0%、MCV 105fL、MCH 39pg、血清ビタミンB12値 80pg/mL(基準値200~1,000pg/mL)、血清総葉酸値 11.5ng/mL(基準値6.0~20ng/mL)
本症例における貧血治療の今後の方針として適切なのはどれか。1つ選べ。
- メコバラミン注射液の筋肉内投与
- 葉酸錠の経口投与
- クエン酸第一鉄ナトリウム錠を増量して再開
- プレドニゾロン錠の経口投与
- 脾臓の摘出術
正解.
問304:1
問305:1
解 説
問304
処方 2 の含糖酸化鉄注射液(フェジン)は、注にあるように「コロイド性」です。生理食塩水で希釈すると凝析して配合変化を引き起こすと考えられます。よって、選択肢 1 は誤りです。
以上より、問304 の正解は 1 です。
問305
血液検査の結果、RBC(赤血球値)が低く、Ht 低い、MCV 高い、ビタミン B12 が基準値と比べ低い、といった特徴が見られます。3年前の胃がんによる胃の摘出もふまえれば、悪性貧血と考えられます。従って、 B12 の筋肉内注射が適切と考えられます。
以上より、問305 の正解は 1 です。
類題 100-226
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