問 題
88歳男性。独居。現在、高血圧症で以下の処方により在宅療養中であり、日中もほとんど寝たきりの生活をしている。
患者は過去に貼付剤による接触性皮膚炎を発症したことがある。また、患者は1人で服薬できないため、50歳の一人娘が毎朝出勤前に薬の管理と服薬介助をしている。娘はこれ以上の介護負担は困難だと考え、将来に不安を感じている。
医師からは、血液検査結果に異常は認められないが、最近、患者の嚥下能力が低下し始めているので、誤嚥に注意するように言われている。
問220
患者の娘が仕事帰りに薬局に立ち寄り、「誤嚥はどのようにして起こるのですか」と薬剤師に質問した。正常な嚥下及び誤嚥の過程について、下図を用いた薬剤師の説明として正しい組合せはどれか。1つ選べ。なお、下図は、口腔から食道・気管までの断面図である。
- 咽頭口部への移送
- 咽頭喉頭部への移送
- 喉頭蓋による気道の閉鎖
- アへの移送
- イへの移送
- 正常な嚥下の過程 誤嚥の過程
- A → B → C → D A → C → E
- A → B → C → E A → B → D
- A → C → B → D A → B → E
- A → C → B → D A → C → E
- A → C → B → E A → B → D
- A → C → B → E A → C → D
問221
本日の訪問診療で、医師は軽度アルツハイマー型認知症と診断し、薬局に処方提案を依頼した。依頼を受け、薬剤師はアルツハイマー型認知症に適応のある医薬品の用法及び剤形を表のようにまとめた。
患者の生活状況、全身状態、疾患などを考慮して、訪問医に追加提案する薬剤として最も適切なのはどれか。1つ選べ。
- ドネペジル塩酸塩口腔内崩壊錠
- ガランタミン臭化水素酸塩口腔内崩壊錠
- ガランタミン臭化水素酸塩内用液
- リバスチグミン経皮吸収型製剤
- メマンチン塩酸塩口腔内崩壊錠
正解.
問220:5
問221:1
解 説
問220
娘さんの将来の介護不安については、特に触れられていませんが、どのようなアプローチがとれるのか、介護保険の範囲などから対応を考えてみたい設定です。
正常は、イ の方に行きます。これがアの方に行ってしまうのが誤嚥です。正常な嚥下の過程の最後は E です。誤嚥の過程の最後は D です。
正常な嚥下は、気道が閉鎖されてから、食べ物が移送されるのですが、この気道の閉鎖がうまくいかないパターンが誤嚥です。従って、誤嚥の過程に C は含まれません。ここまでで、正解は 2 or 5 です。
選択肢 2と 5の違いは B,C の順番です。図を見て考えると、咽頭喉頭部に送ってから、気道を閉鎖しては遅いのではないかと判断できるのではないでしょうか。正常な嚥下の過程は C → B の順番です。
以上より、問220 の正解は 5 です。
問221
経皮吸収型製剤がコンプライアンス的に魅力的なのですが、過去の接触性皮膚炎を考えると避けたい剤形です。選択肢 4 は誤りと考えられます。
メマンチンについては、適応が 中度アルツハイマー型認知症~なので不適切と考えられます。選択肢 5 は誤りと考えられます。
誤嚥注意である点を考慮すると、内服ゼリーや口腔内崩壊フィルムといった、とろみがある剤形や、飲み込む必要のない剤形があり、同じ薬での剤形変更の選択肢が豊富である点から、ドネペジルが最適と考えられます。
以上より、問221 の正解は 1 です。
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