問 題
66歳男性。最近、腰痛が原因で、寝付きも良くないため、整形外科を受診した。骨粗しょう症と診断され、処方せんを持って薬局を訪れた。
問262
処方された薬剤の作用機序として正しいのはどれか。2つ選べ。
- アンドロゲン受容体に結合し、タンパク質同化を促進する。
- オステオカルシンのカルボキシ化を介し、骨形成を促進する。
- カルシウムとリンの腸管からの吸収を促進する。
- カルシトニン受容体に結合し、骨吸収を抑制する。
- ヒドロキシアパタイトに結合し、骨吸収を抑制する。
問263
薬剤師はこの処方に関して医師へ疑義照会を行った。疑義が生じた薬剤として最も可能性が高いのはどれか。1つ選べ。
- ラロキシフェン塩酸塩錠
- アルファカルシドールカプセル
- L-アスパラギン酸カルシウム錠
- メナテトレノンカプセル
- セレコキシブ錠
正解.
問262:2, 3
問263:1
解 説
問262
選択肢 1 は
男性ホルモンの作用機序です。処方の中には、男性ホルモン剤はありません。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は、正しい選択肢です。
メナテトレノン(®グラケー)の作用機序です。オステオカルシンとは、骨芽細胞から分泌されるタンパク質です。カルボキシラーゼという酵素によりビタミン K2 を補酵素として、γ-カルボキシル化を受けて活性化します。活性化されたオステオカルシンは骨形成を促進させます。メナテトレノンは、オステオカルシンのカルボキシル化を介して骨形成促進作用を有します。
選択肢 3 は、正しい選択肢です。
アルファカルシドールの作用機序です。アルファカルシドールは、活性型ビタミン D3 製剤です。カルシウムの吸収を促進することに加え、骨芽細胞を活発にして骨形成を促進します。
選択肢 4 は
カルシトニン製剤の作用機序です。処方の中にはありません。代表例は、エルカルシトニンです。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は
ビスホスホネート製剤の作用機序です。処方の中にはありません。代表例は、エチドロン酸(®ボナロン)です。よって、選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 2,3 です。
問263
ラロキシフェンは、選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)です。閉経後の女性に対して用いられます。本問の症例は男性であるため疑義照会を行う必要が高いと考えられます。
以上より、正解は 1 です。
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