問 題
55歳男性。現在、統合失調症の治療のためピモジド製剤を服用中で、コントロール良好である。健康診断(人間ドック)にて混合型脂質異常症及び萎縮性胃炎との診断を受けた。ピロリ菌(Helicobacter pylori)感染の疑いがあり精査したところ陽性であった。
そこで、脂質異常症の治療及びピロリ菌の除菌をすることになり、以下の処方せんを持って薬局を訪れた。
問220
この処方せんを受け取った薬剤師が、疑義照会すべき内容はどれか。2つ選べ。
- プラバスタチンNa錠の用法
- イコサペント酸エチルカプセルの用法
- ランソプラゾールカプセルとイコサペント酸エチルカプセルの相互作用
- アモキシシリンカプセルとプラバスタチンNa錠の相互作用
- クラリスロマイシン錠とピモジド製剤の相互作用
問221
ピロリ菌は、菌に特徴的な代謝反応を利用して胃内で生存することができる。この反応は、菌による感染の診断法として用いられている。この代謝反応はどれか。1つ選べ。
- L-グルタミンからL-グルタミン酸とアンモニアを生成する反応
- ホスホエノールピルビン酸とADPからピルビン酸とATPを生成する反応
- 尿素からアンモニアと二酸化炭素を生成する反応
- L-アルギニンから尿素とL-オルニチンを生成する反応
- アセチルCoAとオキザロ酢酸から補酵素A(CoA)とクエン酸を生成する反応
正解.
問220:2, 5
問221:3
解 説
問220
選択肢 1 ですが
疑義照会すべき点はありません。1日 10 mg を、1回又は2回に分けて服用する薬です。夕食後となっているのはコレステロールの生合成が夜間に亢進されるため効果的であるとされているからです。ただし、半減期が長いスタチンではいつ飲んでも変わらないという結果があったり、他の薬も含めて、飲み忘れを避けるため などから朝食後などになっていることも、よくあります。
選択肢 2 は、正しい選択肢です。
EPA製剤であるイコサペント酸エチルカプセルは、空腹時ではあまり吸収されないため食直後に服用する薬です。
選択肢 3,4 ですが
疑義照会すべき点は、ありません。
選択肢 5 は、正しい選択肢です。
クラリスロマイシンが CYP 阻害作用を有するため、ピモシドの血中濃度上昇により副作用発現の危険性が高まる可能性があります。併用禁忌の組合せの一つです。
以上より、正解は 2,5 です。
問221
本問で指摘されている特徴的な代謝反応とは、ウレアーゼという酵素による反応です。ウレアーゼは尿素を、アンモニアと二酸化炭素に分解する酵素です。尿素は胃粘液にも含まれており、これをアンモニアに分解することで胃酸を中和させます。
以上より、問 221 の正解は 3 です。
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