問 題
73歳女性。体重48kg。高血圧の既往症があり、現在、オルメサルタン口腔内崩壊錠を服用している。この女性は毎日、血圧を測定しており、その値は正常値の範囲内で安定している。最近、咳が止まらず近医を受診したところ、肺非結核性抗酸菌症と診断された。本人が以下の処方箋を持って来局した。
問202
服薬指導として適切なのはどれか。2つ選べ。
- 尿が赤くなったら、リファンピシンをすぐに中止してください。
- 咳が止まれば、薬を飲みきらなくても大丈夫です。
- 物が見えにくいと感じたら、すぐにお知らせください。
- 服用後1週間ほどすると血圧がいつもより下がるので、ふらつきに気を付けてください。
- 水の様な下痢が起きたら、すぐにお知らせください。
問203
数日後、患者から尿が赤くなったという連絡があった。指導薬剤師は実務実習生になぜ尿が赤くなるのか、その理由について調べるように指導した。実習生は処方された3つの薬物の構造を調べ、尿の着色は、尿中に排出された処方薬の1つとその代謝物によるものであると推測した。
そこで、その原因処方薬の紫外可視吸収スペクトルを調べたところ下図のようであった。以下の記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。
- スペクトルの縦軸の吸光度は、透過率の逆数を表している。
- このスペクトルの測定にはガラス製のセルが用いられる。
- 尿の着色の原因は、220nmから270nmの領域にみられる光の吸収によるものである。
- 335nm付近のピークの波長の光の色は赤色である。
- 尿の着色の原因は、475nm付近にピークを持つ青から緑色の光の吸収によるものである。
正解.
問202:3, 5
問203:5
解 説
問202
選択肢 1 ですが
リファンピシン服用時、尿、汗などが赤く色づくことがあります。これは代謝物によるもので心配ありません。服用中止の必要はありません。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
症状がおさまっても菌をしっかりとたたくため、用法用量通り服用し続けることが求めらます。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は妥当な記述です。
エタンブトールの代表的な副作用に失明があります。注意が必要です。
選択肢 4 ですが
記述は降圧薬などについてと考えられます。本問の処方に対する服薬指導としては不適切と考えられます。よって、選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は妥当な記述です。
偽膜性大腸炎などの重篤な大腸炎の初期症状として、注意が必要です。
以上より、問202 の正解は 3,5 です。
問203
選択肢 1 ですが
吸光度は「透過度(透過率)の、逆数の、常用対数」です。「透過率の逆数」ではありません。よって、選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
ガラスセルだと、セルが紫外線を吸収してしまいます。石英セルが用いられます。よって、選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
220 ~ 270 は、紫外領域なので、可視領域外です。従って、その領域での吸収は、色とは関係ないと考えられます。よって、選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
赤色は、もう少し長波長側です。よって、選択肢 4 は誤りです。
以上より、1~4誤りなので、問203 の正解は 5 です。
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