薬剤師国家試験 第100回 問133 過去問解説

 問 題     

ダイオキシン類に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. ダイオキシン類は、コプラナーPCBを除き、有機化合物の燃焼時や2,4,5-Tなどの除草剤製造時の不純物として生成される非意図的生成物である。
  2. ダイオキシン類の内分泌かく乱作用は、ダイオキシン類がアンドロゲン受容体にアンタゴニストとして結合することに基づく。
  3. ダイオキシン類の毒性は、塩素の置換数が多いほど強い。
  4. ある土壌試料についてダイオキシン類を分析したところ、下表の結果を得た。この土壌試料の毒性等量は630pg-TEQ/gである。

 

 

 

 

 

正解.1, 4

 解 説     

選択肢 1 は、正しい選択肢です。
ちなみに、2,4,5-t とは、2,4,5 – トリクロロフェノキシ酢酸 の略称です。

選択肢 2 ですが
ダイオキシンは、芳香族炭化水素受容体(AhR)に対してリガンドとして結合することが内分泌かく乱作用のメカニズムの一つとして知られています。アンタゴニストとしてアンドロゲン受容体に結合するというわけでは、ありません。よって、選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
ダイオキシン類の毒性は、2,3,7,8 – テトラクロロジベンゾジオキシン(2,3,7.8 – TCDD)が毒性が最も強く、基準(1 TEQ)とされます。つまり、塩素の数が多いほど、毒性が強いというわけではないということがわかります。(塩素が4つしかついていない。)よって、選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は、正しい選択肢です。
濃度と毒性等価係数を掛けた数字を全てのダイオキシン類について足し合わせます。すると 0.1 × 400 = 40、0.3 × 300 = 90、1 × 500 = 500 であり、合わせると 630 です。

以上より、正解は 1,4 です。

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