問 題
抗原Xに結合する単クローン由来のヒト免疫グロブリン(IgG1)は、 2本の重鎖(H 鎖)と 2本の軽鎖(L 鎖)からなり、図 1に示すように、 2本の重鎖間と重鎖・軽鎖間に 4 つのジスルフィド結合を含み、分子量がほぼ同じ 12 個の構造単位で構成される。また、IgG1 全体の分子量は約 150 kDa である。
この IgG1 分子を界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウムの存在下で熱変性させ、ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、タンパク質に結合する色素(クマシーブリリアントブルー)で染色した。
ジスルフィド結合を還元する 2-メルカプトエタノールを加えて熱変性を行った場合と、加えないで熱変性を行った場合では、図 2に示すように、泳動結果に違いがあった。ただし、バンド 2とバンド 3に含まれる分子数の比は 1:1 であった。

以下の記述のうち、正しいのはどれか。2 つ選べ。
- 2-メルカプトエタノールを加えて熱変性を行ったのは、実験 2 である。
- バンド 1 から抽出したタンパク質は、電気泳動前の IgG1 よりも強く抗原Xに結合することができる。
- バンド 2、バンド 3 の分子量は、それぞれ 100 kDa、50 kDa と見積もられる。
- バンド 3 のタンパク質は、熱変性によって切断された重鎖の断片である。
- バンド 2 とバンド 3 のタンパク質は、いずれも抗原結合部位を含む。
解 説
ジスルフィド結合を還元して切断する 2 – メルカプトエタノールを加えて熱変性すると、IgG1 は、以下の 赤線で囲んだ 4 つの部分に分かれます。

IgG1 全体、つまり構造単位 12 個合わせた分子量は 約 150 kDa なので、構造単位 2 個あたり 25 kDa です。従って、それぞれの部分の分子量は 構造単位 2 個が含まれる小さい部分が 25 kDa、構造単位 4 個が含まれる大きい部分が 50 kDa です。
選択肢 1 は妥当です。
2 – メルカプトエタノールを加えているので、ジスルフィド結合が切断され、小さい部分と大きい部分が異なる分子量であるため、2 本のバンドが見られます。
選択肢 2 ですが
熱変性させているため、抗原 X との結合性は低くなっていると考えられます。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
それぞれ 50 kDa、25 kDa と見積もられます。「100 kDa、50 kDa」ではありません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
バンド 3 のタンパク質は、泳動方向により大きく流されているため、分子量が相対的に小さい方のタンパク質です。すなわち、切断された「軽鎖」断片です。切断された「重鎖」の断片ではありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は妥当です。
抗原結合部位とは、Y 字の先端部分です。切断された 4 つの部分全てに 先端部分は含まれています。
以上より、正解は 1,5 です。

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