問 題
79 歳男性。身長 165 cm、体重 47 kg。口渇が著明で、発熱や咳嗽を主訴に総合病院を受診し、入院後に誤嚥性肺炎と診断され、入院当日から処方 1 による治療が開始された。
| 点滴静注 注射用アンピシリンナトリウム・スルバクタムナトリウム( 3 g/バック 1 バック) | 3 g |
| 1 日 4 回 朝昼夕食後・就寝前 1 時間かけて投与 5 日連日投与 |
喀痰培養検査で、Klebsiella pneumoniae が同定され、薬剤感受性試験の結果は以下のとおりであったが、肺膿瘍は認められなかった。
(薬剤感受性試験の結果)

この結果を踏まえて、新たな抗生物質の投与により、誤嚥性肺炎は軽快に向かったが、軽度の舌苔が認められた。含嗽はしていたが、12 日目より口腔咽頭カンジダ症を発症したため、処方 2 が追加となった。
| イトラコナゾール経口液 1 % | 1 回 20 mL( 1 日 20 mL) |
| 1 日 1 回 空腹時 7 日分 |
また、食事摂取困難な日が継続していたことから、栄養摂取方法について検討がなされた。
問246
本症例における薬剤師の対応として正しいのはどれか。 1 つ選べ。
- 薬剤感受性試験結果より、処方 1 の薬剤をピペラシリンへ切り替えるよう提案した。
- 新たな抗生物質への切り替え後は、少なくとも 30 日以上投与することを提案した。
- 処方 2 の薬剤は、服薬時に数秒間口に含み、口腔内全体に行き渡らせた後に嚥下する旨を患者に指導した。
- 食事摂取困難の対応として、フルカリック輸液(注)を末梢静脈から投与するよう提案した。
- 誤嚥が認められた場合の対応として、ジフェンヒドラミンの使用を提案した。
(注:総合ビタミン・糖・アミノ酸・電解質を含む高カロリー輸液)
問247
処方 1 又は 2 に含まれる薬物が阻害するのはどれか。 2 つ選べ。
- トランスペプチダーゼ
- Ⅱ 型トポイソメラーゼ
- ラノステロール C-14 脱メチル化酵素
- 1,3-β-D-グルカン合成酵素
- スクアレンエポキシダーゼ
問246:3
問247:1, 3
解 説
問246
選択肢 1 ですが
薬剤感受試験結果からピペラシリンの判定は耐性です。そのため、ピペラシリンに切り替えても耐性菌に対しては效果が期待できません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
聞いたことないなと違和感を覚えたのではないでしょうか。抗生物質 (抗菌薬) の投与期間は、数日 〜 1 週間程度が基本です。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は妥当です。
イトラコナゾール経口液を口腔咽頭カンジダ症に用いる場合の注意事項です。
選択肢 4 ですが
フルカリック輸液は高カロリー輸液なので、中心静脈から投与です。「末梢静脈から投与」ではありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
ジフェンヒドラミンは抗ヒスタミン薬です。抗ヒスタミン薬や抗コリン薬は、唾液分泌を抑えて口腔乾燥を引き起こす作用があり、誤嚥予防において「注意すべき薬」です。「誤嚥が認められた場合の対応として、ジフェンヒドラミンの使用を提案」するのは、妥当ではありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、問 246 の正解は 3 です。
問247
処方 1 のアンピシリンは、β - ラクタム系抗生物質です。作用点は、細胞壁です。細胞壁合成を阻害します。より詳しくは、細胞壁成分であるペプチドグリカン伸長阻害です。トランスペプチダーゼを阻害することにより作用します。
スルバクタムは、β – ラクタマーゼ阻害薬です。アンピシリンの作用増強の意図で配合されています。
処方 2 のイトラコナゾールはアゾール系抗真菌薬です。ラノステロール C – 14 脱メチル化酵素を阻害し、真菌細胞膜成分のエルゴステロールの生合成を阻害します。
以上より、問 247 の正解は 1,3 です。

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