薬剤師国家試験 第111回 問318-319 過去問解説

 問 題     

8 歳男児。アトピー性皮膚炎に対しステロイド軟膏を使用していたが、顔面の皮疹の改善が見られないため、今回より以下の処方に変更となり、患児は母親とともに処方箋を持って薬局を訪れた。

服薬指導時に薬剤を見た母親から「薬の名前の横に劇と書いてあるけれど、大丈夫なのでしょうか。 1 日 1 回に減らして塗ってもよいですか。」との質問があった。

(処方)
タクロリムス水和物軟膏 0.03 % 5 g 1 回適量
  1 日 2 回 朝夕 顔面に塗布

問318

変更後の薬剤について、母親に説明する内容として適切なのはどれか。 2 つ選べ。

  1. この薬は自己判断で使用回数を変更すると、本来の効果が得られないことがあるので指示どおり使用する。
  2. 眼の周囲に塗布してはならない。
  3. びらんや潰瘍面にも使用できる。
  4. 使用初期に皮膚刺激感を感じることがある。
  5. 毛細血管拡張や皮膚萎縮、緑内障などに注意が必要である。

問319

変更後の薬剤の薬局における取扱いに関し、法令に照らし正しいのはどれか。 2 つ選べ。

  1. かぎを施していない調剤棚に貯蔵することができる。
  2. 本薬剤は、他の劇薬以外の物と区別して貯蔵しなければならない。
  3. 盗難にあったときは、都道府県知事に届け出なければならない。
  4. 患者に交付するときの薬袋に、白地に赤枠赤字で「劇」の文字を記載しなければならない。
  5. 廃棄するときは、あらかじめ、都道府県知事に届け出なければならない。

 

 

 

 

 

正解.
問318:1, 4
問319:1, 2

 解 説     

問318

選択肢 1 は妥当です。
不安を感じたことを受け止めた上で、適切な效果を得られるように用法・用量を正しく守るよう説明します。

選択肢 2 ですが
眼球や結膜には塗布してはいけないのですが、眼の周囲やまぶたにも使用可能です。「眼の周囲に塗布してはならない」わけではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
吸収が高まり副作用リスクが高まるため、皮膚粘膜が傷ついてえぐれた状態である びらんや潰瘍面には使用しないよう説明します。「びらんや潰瘍面にも使用できる」わけではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 は妥当です。
タクロリムス軟膏は、使用初期にヒリヒリ感などの皮膚刺激が生じやすいことが知られています。薬が効いて皮膚の状態が良くなるにつれて、通常は 1 週間くらいで自然になくなるため、自己中断しないように説明します。

選択肢 5 ですが
記述はステロイド外用薬で注意が必要な副作用です。タクロリムス軟膏では注意が必要な副作用ではありません。選択肢 5 は誤りです。


以上より、問 318 の正解は 1,4 です。


問319

選択肢 1 は妥当です。
劇薬は施錠保管の義務がありません。


選択肢 2 は妥当です。

劇薬は、他の物と区別して貯蔵する必要があります。


選択肢 3 ですが

盗難にあった際に都道府県知事に届出義務があるのは、麻薬や向精神薬です。劇薬は届出を行う必要はありません。選択肢 3 は誤りです。

※なお、防犯・安全管理上の観点から、劇薬等の盗難時には最寄りの警察署等へ連絡・相談することが実務上求められます。 


選択肢 4 ですが

白地に赤枠赤字で「劇」の文字を記載する必要があるのは「劇薬の直接の容器または直接の被包」です。患者に交付するときの薬袋には表示義務がありません。選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 ですが

廃棄する際に事前届出が必要であるのは、麻薬などです。劇薬の廃棄は、届出不要です。保健衛生上の危害が発生しない方法で適切に廃棄します。選択肢 5 は誤りです。


以上より、問 319 の正解は 1,2 です。

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