薬剤師国家試験 第110回 問26 過去問解説

 問 題     

モルモット摘出回腸標本の収縮反応について、アセチルコリン単独による濃度 – 反応曲線 (破線) と、薬物 X 存在下でのアセチルコリンによる濃度 – 反応曲線 (実線) を作成したところ、下図のようになった。薬物 X はどれか。1 つ選べ。

ただし、アセチルコリン単独により生じる最大収縮を 100 %とした。また、薬物 X の単独では収縮反応が生じなかった。

  1. ヒスタミン
  2. アトロピン
  3. ピリドスチグミン
  4. パパベリン
  5. ベタネコール

 

 

 

 

 

正解.4

 解 説     

【濃度ー反応曲線の読み取り】
薬物 X 存在下で反応率が下がっており、濃度をどんなにあげても反応率は 50% 程度で頭打ちになっています。薬物 X は、アセチルコリンと「非拮抗阻害(非競合阻害)」を起こしていると読み取れます。


選択肢 1 ですが

ヒスタミンはアセチルコリンの非競合阻害薬ではありません。選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 ですが

アトロピンは代表的な抗コリン薬です。抗コリン薬は M (ムスカリン) 受容体を遮断する薬です。代表的な副作用として、唾液分泌抑制(口渇)、便秘などがあります。

同じ受容体が作用点なので競合阻害薬として作用します。非競合阻害薬ではありません。選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 ですが

ピリドスチグミンは、◯◯チグミンなので「アセチルコリンエステラーゼ阻害薬」です。アセチルコリンを分解する酵素であるアセチルコリンエステラーゼの阻害薬です。アセチルコリンの量を増加させる方向に作用する薬です。非競合阻害薬ではありません。選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 は妥当です。
アセチルコリンの非競合的拮抗薬といえば「パパベリン」です。構造も判別できるようにしておきましょう。特徴的な部分は、ベンゼン環とピリジン環が縮合した構造を持つイソキノリン骨格です。

選択肢 5 ですが
ベタネコールは、アセチルコリンと同じ「直接型コリン作動薬」です。非競合阻害薬ではありません。選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 4 です。

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