薬剤師国家試験 第110回 問63 過去問解説

 問 題     

慢性甲状腺炎の検査所見で陽性になるのはどれか。1 つ選べ。

  1. 抗ペルオキシダーゼ抗体
  2. 抗甲状腺刺激ホルモン (TSH) 受容体抗体
  3. 抗グルタミン酸脱炭酸酵素 (GAD) 抗体
  4. 抗アセチルコリン受容体抗体
  5. 抗環状シトルリン化ペプチド (CCP) 抗体

 

 

 

 

 

正解.1

 解 説     

慢性甲状腺炎は、橋本病とも呼ばれる
甲状腺機能低下症 の代表的原因の一つです。


選択肢 1 は妥当です。

抗ペルオキシダーゼ抗体は甲状腺細胞傷害性が認められています。自己免疫性甲状腺疾患である橋本病や バセドウ病の病態に関与します。

選択肢 2 ですが
抗甲状腺刺激ホルモン (TSH:Thyroid Stimulating Hormone) 受容体抗体は、バセドウ病で陽性です。慢性甲状腺炎ではありません。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
GAD (glutamic acid decarboxylase:グルタミン酸脱炭酸酵素) 抗体は、自己免疫性Ⅰ型糖尿病のマーカーです。慢性甲状腺炎ではありません。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
抗アセチルコリン受容体抗体 は、重症筋無力症の主要な原因となる自己抗体です。慢性甲状腺炎の検査所見で陽性にはなりません。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
CCP (cyclic citrullinated peptide:環状シトルリン化ペプチド) 抗体 は、リウマチ発症の検査として用いられる抗体です。


以上より、正解は 1 です。

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