問 題
次の酵素反応の反応速度 v はミカエリス・メンテンの式に従う。
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ただし、E は酵素、S は基質、ES は E と S の複合体、P は生成物を表し、ミカエリス定数を Km、最大反応速度を Vmax とする。この反応に関する記述として、正しいのはどれか。2 つ選べ。
- v は、P の生成速度 (d[P]/dt) で表される。
- v は、[ES] が一定 (d[ES]/dt=0) となる定常状態を仮定した場合の速度である。
- [S] が Km の 2 倍であるとき、v は Vmax の 1/4 となる。
- Km は反応温度に依存しない。
- Km が小さいほど E と S の親和性は低い。
解 説
ミカエリス・メンテン式は以下の通りです。
v = Vmax[S]/(Km+[S])
これは基礎知識です。
選択肢 1,2 は妥当です。
ES → P の速度定数を k2 とおけば v = d[P]/dt = – k2[ES] です。つまり、v は P の生成速度 d[P]/dt で表されます。
また、ミカエリスメンテン式の前提として、基質 [S] が十分大きい、[ES] は一定 という条件があります。定常状態近似と呼ばれます。言い換えると、v は [ES] が一定となる定常状態を仮定した場合の速度です。
選択肢 3 ですが
ミカエリス・メンテン式の [S] に 2Km を代入して計算すれば 2Vmax/3 です。Vmax/4 ではありません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
ミカエリス定数 Km は、酵素の基質親和性を表すといえます。すると、酵素が失活するような高温では Km が変化するはずです。従って「Km は反応温度に依存しない」という記述が正しいとはいえない と考えられます。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
Km が小さい → Vmax/2 となる [S] が小さい → E と S の親和性は「高い」です。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1,2 です。
参考 酵素反応、拮抗阻害、非拮抗阻害
https://yaku-tik.com/yakugaku/bk-4-1-9/

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