薬剤師国家試験 第110回 問96 過去問解説

　問 題　　　　　

28% アンモニア水を量り、水で全量 500 mL とした後、その 20 mL を正確に量り、さらに水で全量1000 mL とした。この水溶液の pH を測定したところ、11.0 であった。

28% アンモニア水の採取量に最も近いのはどれか。1 つ選べ。

ただし、28 % アンモニア水の比重 d ＝ 0.90、アンモニアの分子量 NH₃ ＝ 17、アンモニアの塩基解離定数 K_b ＝ 1.7 × 10^－5 mol/L、水のイオン積 [H^＋][OH^－] ＝ 1.0 × 10^－14 (mol/L)²、√1.0 から√1.1 の範囲の値は 1 とし、温度は 25 ℃ とする。

1. 10 mL
2. 20 mL
3. 50 mL
4. 100 mL
5. 200 mL

 

 

 

 

 

　解 説　　　　　

【pH = 11.0 からわかること】
pH = -log₁₀[H⁺] は基礎知識です。pH = 11.0 → [H⁺] = 10^-11 mol/L です。そして、水のイオン積より  [OH-] = 1.0 × 10^-3 mol/L です。

弱塩基に関して [OH^–] = √(Kb・C) は基礎知識です。[OH^–] = 1.0 × 10^-3 、Kb = 1.7 × 10^-5 より、計算すると C = (1/1.7) × 10^-1 mol/L です。計算過程は以下の通りです。

【アンモニア水採取量の計算準備　採取量 1mL の場合】
28% アンモニア水、d = 0.90 (つまり 水 1mL = 0.9g) なので、このアンモニア水を 1 mL 採取したとすると、0.9g を採取したことになります。0.9g 中にはアンモニアが「0.9 × 0.28 (g)」 含まれます。物質量にすれば、0.9 × 0.28 × 1/17 mol です。

アンモニア水 採取後に行われる操作は
「水で 全量 500 mLにして、そのうち 20mL を量り、改めて 水で 1000 mL とする」です。水で全量 500 mL にした際、その中にアンモニアが 0.9 × 0.28 × 1/17 mol あります。このうち 20 mL 量ると、アンモニアは (20/500) × 0.9 × 0.28 × 1/17 mol となります。

そして、改めて 水で 1000mL にするのだから
アンモニアの濃度 C_NH3 = (20/500) × 0.9 × 0.28 × 1/17 mol/L です。

【アンモニア水採取量計算】
『アンモニア水を 1mL 採取
→ 操作後濃度  (20/500) × 0.9 × 0.28 × 1/17 mol/L
≒ 1/25 × 0.25 × 1/17 mol/L

では、アンモニア水を ? mL 採取
→ (1/1.7) × 10^-1 = 1/17 mol/L となるか』と、本問は言い換えられます。

式で表せば (1/25 × 0.25 × 1/17) × ? = 1/17 です。
選択肢 を代入して確認すれば、? = 100 mL です。

以上より、正解は 4 です。