問 題
幹細胞に関する記述として、正しいのはどれか。2 つ選べ。
- 造血幹細胞は、単能性幹細胞である。
- 組織幹細胞は、非対称な細胞分裂をしない。
- 人工多能性幹細胞 (iPS 細胞) は、成体の体細胞に複数の遺伝子を導入し、分化状態を初期化することにより作製される。
- 胚性幹細胞 (ES 細胞) は、初期胚の内部細胞塊から樹立される。
- ES 細胞は、全能性を持つ。
正解.3, 4
解 説
選択肢 1 ですが
単能性とは「一つにしか分化しない」という意味です。造血幹細胞が、赤血球、白血球、血小板といった様々な血液細胞に分化できることは基礎知識です。従って「造血幹細胞は、単能性」ではありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
「組織幹細胞の細胞分裂の対称性」について知っていたり、意識して学んできた人はそれほどいないと思われます。
本選択肢の考え方としては、仮に非対称な細胞分裂をしないとすると…? とするのが一例としてあげられます。すなわち、組織幹細胞は非対称な細胞分裂をしない → きれいに半分ずつ分かれる形式の細胞分裂しかしない と仮定してみます。
すると、様々な組織に分化できないのではないか…? → 正しい記述ではない と推測できるのではないでしょうか。本番での考え方の一例として、参考になれば幸いです。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は妥当です。
iPS 細胞の作製方法についての記述です。
選択肢 4 は妥当です。
ES 細胞の作製方法についての記述です。
選択肢 5 ですが
ES 細胞は、あらゆる細胞に分化できる多能性を有しますが、完全な個体を形成できる能力である全能性は有していません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 3,4 です。
類題 105-14
https://yaku-tik.com/yakugaku/105-014/
参考 細胞の多様性と幹細胞の性質
https://yaku-tik.com/yakugaku/kise-5-3/

コメント